ボリンジャーバンドは標準偏差と統計学を用いたテクニカル指標│ボリンジャーバンドの見方と使い方

ボリンジャーバンドは、トレンドの方向性を測るトレンド系のテクニカル指標の一種です。

アメリカのジョン・ボリンジャーという投資家が考案したもので、FXにおいては、定番のテクニカル指標となっています。視覚的に分かりやすく、FX初心者の方でも、トレードに取り入れやすいので、その見方と使い方については、しっかりとマスターしておきましょう。

ボリンジャーバンドとは

ボリンジャーバンドは、標準偏差と正規分布の考え方を取り入れたテクニカル指標で、移動平均線と移動平均線を中心として上下に引かれた線によって構成されています。

なお、ボリンジャーバンドの基礎ともなる移動平均線については、以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

ボリンジャーバンド

このチャートは、ボリンジャーバンドを表示させたものですが、7本の線が引かれているのが分かると思います。

7本の線の内、中心にある線が移動平均線で、移動平均線のひとつ外側の上下に引かれた線が、移動平均線を基準とした標準偏差である±1σの線、その外側の線が、±2σの線、更にその外側の線が、±3σの線です。

これらの線が、帯状に推移することから、ボリンジャーバンドと呼ばれています。

なお、ボリンジャーバンドにおける標準偏差は、以下の計算式で求められます。

標準偏差=√(期間×価格の2乗の合計-価格の合計の2乗)÷{期間×(期間-1)}

ボリンジャーバンドの使い方については、後ほど触れますが、ボリンジャーバンドは、相場のボラティリティ、つまり、その時々の値動きの大きさや相場局面を教えてくれたり、統計学的な考え方から、買われ過ぎや売られ過ぎといった相場の過熱感を判断するのに役立ちます。

標準偏差と正規分布

標準偏差と正規分布と言われても、ピンと来ない方も多いと思います。ということで、まずは、ボリンジャーバンドの根拠となる標準偏差と正規分布について、簡単に整理しておきましょう。

標準偏差とは

標準偏差とは、平均値を基準としたデータのばらつきの度合いを表す指標で、σ(シグマ)という単位で表されます。

標準偏差は、平均値に近い値が多いほど、小さくなり、値が幅広く分散されているほど、大きくなります。

ボリンジャーバンドは、移動平均線を基準とした標準偏差であるため、値動きが大きい場面では、ボリンジャーバンドも大きく広がり、値動きが小さい場面では、ボリンジャーバンドの広がりも小さくなります。

正規分布とは

また、正規分布というのは、確率分布の一種で、平均値を中心として、プラスの方向にも、マイナスの方向にも、同程度にデータが存在している分布のことを言い、平均値に近いほど、分布するデータの数は多くなり、平均値から遠いほど、データの数は少なくなります。

正規分布に従うデータには、以下の性質があります。

  • 平均値±1σの範囲内に約68.3%のデータが収まる
  • 平均値±2σの範囲内に約95.5%のデータが収まる
  • 平均値±3σの範囲内に約99.7%のデータが収まる

この性質に則ると、ローソク足が、ボリンジャーバンドの±1σの範囲内で推移する確率は、約68.3%、±2σの範囲内で推移する確率は、約95.5%、±3σの範囲内で推移する確率は、約99.7%となります。

ボリンジャーバンドの設定

ボリンジャーバンドでは、±1σ、±2σ、±3σの線を表示させるのが、一般的ですが、その中で、最も多く用いられるのが、±2σの線です。

先に触れたように、ローソク足が、±2σの範囲内に収まる確率は、約95.5%で、ローソク足は、概ね、±2σの範囲内で推移することが分かります。±2σという値は、トレードに最も活用しやすい実戦的な値です。

あまり多くの線を表示させても、チャートが見づらくなりますので、通常は、±2σの線を表示させておけば、問題ありません。

また、ボリンジャーバンドの基準となる移動平均線の期間については、20を用いるのが一般的です。絶対にこの値でなければいけないということではありませんが、パラメーター設定に迷ったら、20を設定しておくと良いでしょう。

ボリンジャーバンドの見方

ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心として、上下に引かれた線から構成されていますが、ボリンジャーバンドの中心となる移動平均線のことをミドルバンド、ミドルバンドの上に引かれた線をアッパーバンド、ミドルバンドの下に引かれた線をロワーバンドと言います。

ミドルバンドに注目すれば、移動平均線同様、その傾きから、トレンド相場にあるのか、レンジ相場にあるのか、その時々の相場局面を読み取ることができますが、アッパーバンドとロワーバンドの幅やローソク足との位置関係に注目することによって、移動平均線より一歩進んだ分析ができたり、売買シグナルとしても、活用することができます。

ボリンジャーバンドに見られる特徴的な動き

ボリンジャーバンドでは、以下の特徴的な動きが見られます。これらは、値動きを分析する上で、重要なものになるため、必ず押さえておきましょう。

ボリンジャーバンドに見られる特徴的な動き
  • スクイーズ
  • エクスパンション
  • バンドウォーク

スクイーズ

スクイーズは、ボリンジャーバンドの幅が収束している状態のことです。

ボリンジャーバンドのスクイーズ

ボリンジャーバンドが収束しているということは、ローソク足の動きも小幅で、相場がもみ合っていることを表しています。

ここで覚えておいてもらいたいのが、スクイーズの状態は、相場がエネルギーを貯めている状態だということです。貯め込まれたエネルギーは、いずれ放出されます。つまり、今後、大きく値が動く可能性があるということです。

スクイーズは、急激な値動きや新たなトレンド発生の予兆と考えられますので、スクイーズが現れた際は、その後の値動きを注視しておきましょう。

エクスパンション

エクスパンションは、スクイーズとは反対に、ボリンジャーバンドの幅が大きく広がった状態を指します。

ボリンジャーバンドのエクスパンション

ボリンジャーバンドは、スクイーズとエクスパンションの状態を繰り返していて、スクイーズが発生した後は、やがて、エクスパンションが起きます。

エクスパンションは、相場のボラティリティが高まっている状態で、上昇または下落の勢いが強いことを表していて、トレンド発生のサインとなる可能性があります。

バンドウォーク

バンドウォークは、ローソク足がボリンジャーバンドに沿ったまま上昇または下落している状態です。

ボリンジャーバンドのバンドウォーク

バンドウォークが見られるということは、明確なトレンドを形成しているということを意味します。上昇トレンドの場合は、ローソク足が、アッパーバンドに沿って上昇していきますし、下降トレンドの場合は、ローソク足が、ロワーバンドに沿って下降していきます。

ボリンジャーバンドの使い方

ボリンジャーバンドを活用したトレード手法としては、レンジ相場における逆張りとトレンドフォローの順張りが考えられます。

レンジ相場における逆張り

ボリンジャーバンドはサポートラインやレジスタンスラインとして機能することがあります。つまり、ボリンジャーバンド付近でローソク足が反転上昇したり、下落したりすることがあるということです。

ボリンジャーバンドを用いた逆張り手法

先述したように、ローソク足は、±2σの範囲内に収まる確率が、約95.5%となっており、±2σの範囲を超えるのは、買われ過ぎ、売られ過ぎと考えることができます。そのため、ローソク足が、+2σ付近まで上昇したところで、逆張りの売り、-2σ付近まで下落したところで、逆張りの買いを仕掛けるのが、有効な戦略となります。

ただし、この逆張り手法が使えるのは、あくまでもレンジ相場においてです。

トレンド相場においては、バンドウォークが発生し、±2σのラインに接したまま、ローソク足が推移することがありますので、ボリンジャーバンドに接したところで逆張りという手法は、有効ではありません。

ミドルバンドの傾き等から、相場局面を見極め、レンジ相場にあると判断できる場合に限って、逆張りを仕掛けるようにしましょう。

トレンド相場における順張り

勢いの強いトレンド相場においては、ローソク足がバンドウォークを見せます。そこで、バンドウォークを見せている方向に順張りでついて行くのも、効果的な手法になります。

ただし、バンドウォークを見せているということは、買われ過ぎ、売られ過ぎの状態にあるとも考えられることから、いつ反転してもおかしくない状態にあるということは、頭にいれておきましょう。

そこで、バンドウォークの状態にある場合は、エントリーを控え、一旦、押し目や戻りを作ったところで、エントリーをすると、リスクを低減することができます。

ボリンジャーバンドを用いた順張り手法

例えば、このチャートでは、アッパーバンドに沿ったバンドウォークを見せた後、ローソク足が調整の下落を見せていますが、-2σのロワーバンドやトレンドラインがサポートラインとなり、押し目が形成されています。ここでエントリーできれば、再度の上昇にうまくついて行くことができます。

このように、エクスパンション後のバンドウォークによって、トレンド発生を確認した上で、押し目や戻りを形成したところをエントリーポイントとして、順張りで狙うようにすると、リスクを下げながらも、大きな利益を狙えるようになります。

ボリンジャーバンドのまとめ

ボリンジャーバンドは、相場局面やボラティリティを捉えるのに効果的なテクニカル指標で、視覚的に分かりやすいという特徴があります。

他のテクニカル指標との相性も良く、組み合わせて使うことで、より精度の高いテクニカル分析が可能になります。ボリンジャーバンドは、様々な場面で活躍してくれるので、必ず使いこなせるようにしておきましょう。