ローソク足を徹底解剖!正しい見方とパターンから読み取れるシグナルまで分かりやすく解説

チャートを読み解く上で、欠かせないのが、ローソク足です。チャートを見ると、蝋燭のようなものが並んでいると思います。これをローソク足と呼びます。

ローソク足は、日本で考案されたものですが、海外においてもメジャーな存在で、ローソク足が表示されたチャートは、キャンドルチャートとしてごく一般的に使われています。

ローソク足は、テクニカル分析の基礎を成すもので、シンプルな形でありながら、ローソク足の1本1本には、多くの情報が詰め込まれています。

FXに限らず、投資とローソク足は切っても切れない関係で、ローソク足の見方が分からないでは、お話になりませんので、テクニカル分析の第一歩として、まずは、ローソク足の見方について、学んでいきましょう。

ローソク足とは

チャートを形成する1本1本の棒が、ローソク足です。反対に言えば、無数のローソク足が並べられらたものが、チャートとなります。

チャートを形成するローソク足

チャートに並べられた1本1本のローソク足をよく見てみると、どれも形状が違うのが、分かると思います。

ローソク足は、一定期間における値動きを表しており、為替レートの変動のしかたによって、その都度、姿を変えます。つまり、ローソク足の形状から、期間内の値動きが分かるようになっているのです。

ローソク足の見方

ここでは、1本1本のローソク足に焦点を当てて、その見方について、解説します。ローソク足の見方が分かれば、それぞれのローソク足が持つ意味についても、理解できるようになるはずです。

ローソク足の実体とヒゲ

ローソク足は、実体とヒゲという部分に分けられます。

ローソク足の実体とヒゲ

ローソク足の胴体の部分を実体、上下に伸びている線の部分をヒゲと呼びます。また、上に伸びているヒゲを上ヒゲ、下に伸びているヒゲを下ヒゲと言います。

陽線と陰線

チャートを見ると、2色の異なるローソク足が並んでいるのが、分かると思います。この色の違いには、大きな意味があって、片方が陽線と呼ばれ、もう片方が陰線と呼ばれます。

色については、チャートの設定によって変えることができますので、何色が陽線で、何色が陰線と特定することはできませんが、陽線は、赤や白、陰線は、青や黒で表現することが多いです。

重要な陽線と陰線の意味ですが、始値を終値が上回ったときにできるローソク足が、陽線で、始値を終値が下回ったときにできるローソク足が、陰線です。つまり、価格が上昇した場合は、陽線ができ、価格が下落した場合は、陰線ができることになります。

陽線
始値を終値が上回ったときにできるローソク足
陰線
始値を終値が下回ったときにできるローソク足

ローソク足が表す四本値

ローソク足は、一定期間内の値動きを表したものですが、それぞれのローソク足には、四本値という4つの価格の情報が詰め込まれています。四本値というのは、始値終値高値安値の4つです。

始値というのは、期間の最初に取引された価格のことで、始値に対するのが、終値です。終値は、期間の最後に取引された価格のことを言います。また、高値というのは、期間の内、最も高く取引された価格のことで、安値というのは、期間の内、最も安く取引された価格のことです。

始値
期間の最初に取引された価格
終値
期間の最後に取引された価格
高値
期間の中で最も高く取引された価格
安値
期間の中で最も安く取引された価格

陽線と陰線における四本値

ローソク足は、この四本値を表したもので、陽線の場合、ローソク足の実体の下のラインが、始値となり、実体の上のラインが、終値となります。反対に、陰線の場合、ローソク足の実体の上のラインが、始値となり、実体の下のラインが、終値となります。また、陽線、陰線とも、上ヒゲの頂点が、高値、下ヒゲの頂点が、安値です。

ローソク足は値動きによって形を変える

ローソク足は、期間内の値動きによって、形を変えます。

先にも触れた通り、価格が上昇すれば、陽線となり、価格が下落すれば、陰線となる他、値動きが大きければ、ローソク足は長くなりますし、値動きが小さければ、ローソク足は短くなります。また、上ヒゲが伸びているということは、高値をつけた後に、反転下落したことを表していて、下ヒゲが伸びているということは、安値をつけた後に、反転上昇したことを表しています。

ローソク足の形状から、期間内の値動きを読み取ることができますので、それぞれのローソク足がどのような形をしているのか、注視しておきましょう。

ローソク足のパターンと形状から読み取れるシグナル

ローソク足の形状は、体系化されていて、それぞれのローソク足の形状から相場動向を分析することができます。以下では、ローソク足の形状のパターンとそれぞれが発するシグナルについて、まとめていますので、参考にしてみてください。

なお、単体のローソク足ではなく、複数のローソク足の並びから値動きを予測する相場分析手法の代表的なものに酒田五法というものがあります。酒田五法については、以下の記事で詳しく解説していますので、ローソク足1本1本の形状について学んだ後は、こちらにも目を通しておいてください。

ローソク足の基本形

まずは、基本となるローソク足の形から見ていきましょう。陽線か陰線か、そして、実体とヒゲの長さに注目してください。

名称 形状 シグナル
大陽線 大陽線 実体が長く、ヒゲが短い陽線 上昇トレンドで現れることが多く、強気相場のサイン
大陰線 大陰線 実体が長く、ヒゲが短い陰線 下降トレンドで現れることが多く、弱気相場のサイン
小陽線 小陽線 実体もヒゲも短い陽線 上昇トレンドの保ち合いで現れることが多く、売買が拮抗している
小陰線 小陰線 実体もヒゲも短い陰線 下降トレンドの保ち合いで現れることが多く、売買が拮抗している
上影陽線 上影陽線 上ヒゲが長い陽線 上昇の勢いが衰えており、上昇トレンド終了の可能性あり
上影陰線 上影陰線 上ヒゲが長い陰線 上昇の勢いが衰えており、上昇トレンド終了の可能性あり
下影陽線 下影陽線 下ヒゲが長い陽線 下落の勢いが衰えており、下降トレンド終了の可能性あり
下影陰線 下影陰線 下ヒゲが長い陰線 下落の勢いが衰えており、下降トレンド終了の可能性あり
寄引同事線(十字足) 寄引同事線(十字足) 実体がなく、ヒゲが上下に伸びている線 売買が拮抗しており、トレンド転換の可能性あり

ローソク足の応用形

次は、ローソク足の基本形を細分化した応用形とも言えるローソク足です。これらを活用することで、より詳細な分析が可能になります。

名称 形状 シグナル
陽の丸坊主 陽の丸坊主 ヒゲがない大陽線 上昇トレンドで現れることが多く、上昇の勢いが非常に強い
陰の丸坊主 陰の丸坊主 ヒゲがない大陰線 下降トレンドで現れることが多く、下落の勢いが非常に強い
陽の寄り付き坊主 陽の寄り付き坊主 下ヒゲがない大陽線 上昇の勢いが強いものの、高値圏で現れた場合は、上昇トレンド終了の可能性あり
陰の寄り付き坊主 陰の寄り付き坊主 上ヒゲがない大陰線 下落の勢いが強いものの、安値圏で現れた場合は、下降トレンド終了の可能性あり
陽の大引け坊主 陽の大引け坊主 上ヒゲがない大陽線 強気相場のサインで、今後も続伸する可能性あり
陰の大引け坊主 陰の大引け坊主 上ヒゲがない大陰線 弱気相場のサインで、今後も続落する可能性あり
コマ(陽の極線) コマ(陽の極線) 実体もヒゲも非常に短い小陽線 保ち合い相場のサイン
コマ(陰の極線) コマ(陰の極線) 実体もヒゲも非常に短い小陰線 保ち合い相場のサイン
カラカサ(陽線) カラカサ(陽線) 上ヒゲがない下影陽線 上昇の勢いが強く、安値圏で現れた場合は、下降トレンド終了の可能性あり
カラカサ(陰線) カラカサ(陰線) 上ヒゲがない下影陰線 上昇の勢いが強く、安値圏で現れた場合は、下降トレンド終了の可能性あり
トンカチ(陽線) トンカチ(陽線) 下ヒゲがない上影陽線 下落の勢いが強く、高値圏で現れた場合は、上昇トレンド終了の可能性あり
トンカチ(陰線) トンカチ(陰線) 下ヒゲがない上影陰線 下落の勢いが強く、高値圏で現れた場合は、上昇トレンド終了の可能性あり
トンボ トンボ 上ヒゲがなく、下ヒゲが長い寄引同事線 安値圏で現れた場合は、上昇トレンドへ転換の可能性あり
塔婆 塔婆 下ヒゲがなく、上ヒゲが長い寄引同事線 高値圏で現れた場合は、下降トレンドへ転換の可能性あり
寄せ線(足長同事線) 寄せ線(足長同事線) 上ヒゲも下ヒゲも長い寄引同事線 売買が拮抗しているサインで、トレンド転換の可能性あり
四値同事足 四値同事足 実体もヒゲもない寄引同事線 相場が様子見をしているサインで、トレンド転換の可能性あり

ローソク足は時間軸を変えて表示できる

ローソク足は、時間軸を変えて表示することができます。

例えば、1日の値動きを1本のローソク足で表すこともできますし、1時間の値動きを1本のローソク足で表すこともできます。一般的によく用いられるのは、日足、4時間足、1時間足、15分足、5分足、1分足といったところです。

適切な時間軸のローソク足を使う

相場分析や取引を行う際に表示させるローソク足の時間軸は、非常に重要で、適切な時間軸のローソク足を用いていなければ、正しい分析ができず、トレードに勝つこともできません

例えば、スキャルピングと呼ばれる数秒から数分単位の超短期的なトレードをする際に、日足のような1日レベルの値動きしか分からないローソク足だけを使っていては、売買のポイントすら分かりません。このようなトレードをするのであれば、本来は、主に、5分足や1分足といった短い時間軸のローソク足を使って、取引をすべきです。

短期売買を行う際には、短い時間軸のローソク足を用いて、長期売買を行う際には、長い時間軸のローソク足を用いるというのが、定石です。

複数の時間軸のローソク足で相場の全体像を捉える

ただし、短期売買を行う場合であっても、長い時間軸のローソク足から、長期的な相場の状況を把握しておくことは必要です。

短期的な値動きと長期的な値動きは、必ずしも合致せず、それぞれが異なる値動きをすることは、往々にしてあります。例えば、短期的には、相場が上昇していても、長期的には、下落しているということもあり得る訳です。

例として、以下のチャートを見てみましょう。左側のチャートは、5分足チャートで、右側のチャートは、1時間足チャートです。そして、左側の5分足チャートに表示されている期間は、右側の1時間足チャートのオレンジの枠で囲んだ部分に該当します。

異なる時間軸で表示したチャート(5分足)
異なる時間軸で表示したチャート(1時間足)

5分足チャートを見る限り、相場は、上昇傾向にあるように思えますが、1時間足チャートを見てみると、相場は、明らかに下落傾向で、5分足チャートの期間は、一時的な上昇であることが分かります。

短期的なトレンドと長期的なトレンドでは、長期的なトレンドの力の方が強いです。短期的なトレンドが長期的なトレンドと反対の方向に動いていても、いつかは、長期的なトレンドに飲み込まれることになります。

相場分析の際に、セオリーとされているのは、長い時間足から分析を始め、相場の全体像を捉えた上で、徐々に短い時間足を使って、短期的な値動きを分析する手法

長い時間軸のローソク足だけを見ていては、短期的なトレンドは分かりませんし、短い時間軸のローソク足だけを見ていては、長期的なトレンドは分かりません。

複数の時間軸のローソク足を使って、相場の全体像を捉えることを心がけましょう。

ローソク足のまとめ

チャートに無数に並んだローソク足の1本1本には、重要な意味が込められています。ローソク足が読めなければ、チャートを読むことはできませんし、そこから値動きを読み取ることもできません。

ローソク足を理解することが、テクニカル分析の第一歩となりますので、頭の中に、徹底的に叩き込んでおきましょう。

なお、テクニカル分析においては、ローソク足の他に、トレンドラインとホリゾンタルラインというチャート上に引く線とテクニカル指標という分析ツールが、重要な柱となります。

これらも、ローソク足と並び、テクニカル分析に欠かすことのできないものですので、以下の記事を参考に、しっかりと理解しておいてください。