自己資本規制比率はFX会社の財務の健全性を測る重要指標

FX会社を選ぶ際にひとつの基準となるのが、FX会社の信用力。取引しているFX会社がつぶれてしまっては、トレードに支障を来たしてしまいます。そこで、FX会社の財務の健全性を測る重要な指標となるのが、自己資本規制比率です。

このページの要点
  • 自己資本規制比率はFX会社の財務の健全性を測るのに効果的な指標
  • 自己資本規制比率が120%を下回ると行政処分の対象になる

自己資本規制比率とは

自己資本規制比率は、FX会社等の財務の健全性を測るために導入された指標です。

FX会社や証券会社等の金融商品取引業者は、金融商品取引法において、自己資本規制比率を一定水準以上に保つことが求められています

仮に、一定水準を下回った場合、業務停止命令等の行政処分の対象となってしまうため、FX会社や証券会社からすると、非常に重みのある指標と言うことができます。

FX会社や証券会社は、毎年、3月、6月、9月、12月の末日時点の自己資本規制比率を公表する必要があり、公表値は、各社の公式サイト等でも確認することができますので、私たちが、取引を行うFX会社を選ぶ際にも、役立てることができます。

自己資本規制比率の算出方法

自己資本規制比率は、以下の通り、自己資本から固定的資産等を除くことで求められる固定化されていない資本を発生し得るリスク相当額(市場リスク、取引先リスク、基礎的リスク)で割ることで算出されます。

自己資本規制比率=固定化されていない自己資本の額÷リスク相当額×100

自己資本は、資本金や剰余金等のように会社の内部で調達した資本のことです。借入金や社債等の外部から調達した資本である他人資本は、返済の必要がありますが、自己資本は、返済の必要がありません。

更に、自己資本規制比率は、この自己資本から固定的資産を除いた固定化されていない自己資本の額を用いて算出されます。これは、現金化が容易な自己資本を表しています。

なお、リスク相当額とは、市場リスク相当額、取引先リスク相当額、基礎的リスク相当額の合計額で、各種リスクは、以下を意味しています。

市場リスク
保有する資産の価格変動リスク
取引先リスク
取引先の契約不履行等により発生するリスク
基礎的リスク
事務処理の誤り等の日常的に発生するリスク

おそらく大半の方は、この計算式を見ても、自己資本規制比率が何を表したものなのか、ピンと来ないかと思いますが、要は、自己資本規制比率は、各種リスクに対応するための自己資本をどれだけ保有しているかを表した指標と言うことができます。

FX会社は、各種リスクをカバーするため、現金化が容易な自己資本を常に用意しておく必要があり、その自己資本を維持できているかどうかを測る指標が、自己資本規制比率なのです。

法令等で求められる自己資本規制比率の基準

金融証券取引法では、自己資本規制比率を120%以上に維持することが義務付けられており、自己資本規制比率が一定水準を下回った場合、金融庁は、FX会社や証券会社に対して、以下の通り、各種措置を執ることができるようになっています。

自己資本規制比率 金融庁の措置
140%を下回ったとき 金融庁に届出が必要
120%を下回ったとき 業務改善命令
100%を下回ったとき 3ヵ月以内の業務停止命令または登録取消命令

金融庁は、FX会社の自己資本規制比率が120%を下回ると、業務改善命令、100%を下回ると、業務改善命令という行政処分を執行することができ、最悪の場合、登録取消命令を執行することができますので、FX会社にとっては、非常に重要で、注視しておかなければならない指標です。

自己資本規制比率が低過ぎるFX会社には要注意

取引するFX会社を選ぶ際には、注目すべきいくつかのポイントがありますが、会社の信用力もそのひとつ。

FX会社が経営破綻に陥った場合でも、信託保全によって、投資家の資産は守られますが、それでも、トラブルに巻き込まれるのは、気分が良くありませんよね。FX会社に預けていた資産の返還には時間がかかりますし、当然、それ以降のトレードができなくなってしまいますので、確実に取引に支障を来たしてしまいます。

そのため、FX会社を選ぶ際には、FX会社の財務の健全性に注目しておくことも必要です。そこで活用できるのが、自己資本規制比率という指標なのです。

自己資本規制比率が、120%を下回ってしまえば、行政処分の対象となりますので、お世辞にも財務的に健全な会社とは言えません。取引するFX会社を選ぶ際には、そのような会社は避けた方が良いでしょう。また、低下傾向にあるFX会社も要注意。値の推移を注視しておきましょう。

一般的に、FX会社の自己資本規制比率は、200%以上あれば、概ね問題ないとされていますので、これをひとつの目安と考えておくと良いかもしれません。

ちなみに、以下のページでは、各FX会社の自己資本規制比率について、比較を行っていますので、FX会社選びの参考にしてみてください。

自己資本規制比率のまとめ

FX会社にとって、自己資本規制比率は、金融商品取引法により、一定水準以上に保つことが求められた重要な指標であることが分かりました。一定水準を下回ると、行政処分の対象にもなってしまいますので、注意が必要です。

大半のFX会社は、200%以上の値を維持していますので、概ね問題ないと判断できますが、取引するFX会社を選ぶ際には、念のため、自己資本規制比率についても、チェックしておいた方が良いでしょう。

とは言え、FX会社の財務の健全性は、自己資本規制比率だけで測ることはできません。自己資本規制比率が高いから、絶対に大丈夫ということではありませんので、あくまでも、FX会社の信用力を測るひとつの指標と捉えておきましょう。