失敗しない通貨ペアの選び方とFX初心者におすすめの通貨ペア
このページの要点
  • 通貨の特徴を理解した上で、取引する通貨ペアを選ぶことが大切
  • 初心者の方は、取引量が多く値動きが安定している通貨ペアがおすすめ
  • スワップポイント狙いなら、低金利通貨と高金利通貨の組み合わせを選ぶ

通貨ペアの選び方

FXは、通貨と通貨の交換を通して利益を上げようとする投資で、トレードに際して、通貨ペアという通貨と通貨の組み合わせを選ぶ必要がります。

通貨には、それぞれ特徴があり、通貨ペア選びは、損益に直結することから、各通貨の特徴を理解した上で、自分のトレードスタイルに合った通貨ペアを選ぶ必要があります。

通貨ペア選びのポイント

取引する通貨ペアを選ぶ際は、以下を基準に考えるようにしましょう。

通貨ペアを選ぶ基準
  • 取引量
  • スプレッド
  • 金利

取引量が多い通貨ペアを選ぶ

取引する通貨ペアを選ぶ上で、取引量の多い通貨を選ぶことは、非常に重要です。

取引量が多い通貨ペアは、値動きが安定していて、テクニカル分析にも素直に反応してくれるため、相場に振り回されるリスクが小さく、値動きを分析しやすいのです。

反対に、取引量が少ない通貨ペアの場合、流動性が低いことから、値動きが荒っぽく、乱高下しやすいことに加え、テクニカル分析も効きにくいため、トレードが難しくなります

FX初心者の方ほど、取引量が多い通貨ペアを選ぶべきです。

取引量が多い通貨ペア

以下の表は、国際決済銀行(BIS)が公表している2016年における通貨ペア別の取引シェアです。

通貨ペア 取引シェア
ユーロ/米ドル 23.0%
米ドル/円 17.7%
英ポンド/米ドル 9.2%
豪ドル/米ドル 5.2%
米ドル/カナダドル 4.3%
米ドル/中国人民元 3.8%
米ドル/スイスフラン 3.5%
ユーロ/日本円 1.6%
NZドル/米ドル 1.5%

この表を見てみると、ドルストレートの通貨ペアが上位を独占していることが分かります。特に、FXにおいても定番のユーロ/米ドルや米ドル/円といった通貨ペアの取引量は、圧倒的に多いです。取引量から判断すると、ユーロ/米ドルや米ドル/円は、トレード向きの通貨ペアと言うことができます。

短期トレードならスプレッドは狭いほど良い

スプレッドは、通貨ペアによって異なりますが、デイトレードやスキャルピングのように短期的な取引を繰り返すトレードスタイルの場合は、スプレッドが狭い通貨ペアほど良いです。

取引回数が増えれば、それだけコストがかさみますので、スプレッドが狭いほど、利益は増えることになります。スイングトレードのような長期トレードの場合は、狙う利益の幅も大きくなりますし、取引回数も少なくなりますので、スプレッドに敏感になる必要はありませんが、取引期間が短く、取引回数が多くなるほど、スプレッドには気を配っておく必要があります。

ちなみに、米ドル/円やユーロ/米ドルといった取引量が多い定番の通貨ペアほど、スプレッドは狭い傾向にあります。

スワップポイント狙いなら高金利通貨を選ぶ

スワップポイントは、低金利通貨を売って高金利通貨を買うことで、受け取ることができ、通貨間の金利差が大きいほど、受け取れるスワップポイントも大きくなります。

つまり、スワップポイント狙いのトレードをするのであれば、低金利通貨と高金利通貨の通貨ペアを選ぶことで、より大きなスワップポイントを受け取ることができます

高金利通貨と言えば、豪ドルやNZドルといった資源国通貨の他、新興国通貨が挙げられますが、金利は、その国の金融政策によって変動しますので、スワップポイント狙いのトレードとする場合は、各通貨の金利に敏感になっておかなければなりません。

主要通貨の特徴

通貨ペアを選ぶには、各通貨の特徴を知っておかなければなりません。以下に主要通貨の特徴をまとめておきますので、しっかりと理解しておきましょう。

米ドル
経済大国アメリカの通貨。世界の基軸通貨で、取引量が最も多い通貨です。値動きは、大き過ぎず安定しているため、初心者でもトレードしやすいという特徴があります。
ユーロ
EU加盟国を中心にヨーロッパで導入されている単一通貨で、米ドルに次いで取引量が多い通貨です。値動きは、米ドルよりも大きいですが、比較的安定しているため、米ドルとともに初心者向きの通貨と言えます。ただ、導入国それぞれのファンダメンタルズ要因が値動きに影響を与える点には、注意が必要です。
英ポンド
イギリスの通貨で、米ドル、ユーロ、日本円に次ぐ取引量があります。値動きが大きく、大きな利益を狙えるため、玄人に好まれる通貨ではありますが、その分、損失を被る危険性も高いことから、初心者向きの通貨ではありません。
スイスフラン
永世中立国スイスの通貨で、有事の際に買われやすい安全通貨です。値動きは小さく、低金利なため、積極的にトレードしている個人投資家は多くありませんが、経済危機や地政学的リスクが高まった際の退避先となっています。
豪ドル
オーストラリアの通貨で、資源国通貨の代表格。先進国通貨の中では、金利が高く、大きなスワップポイントが期待できるため、個人投資家から人気があります。
NZドル
ニュージーランドの通貨で、豪ドル同様、資源国通貨に分類されます。値動きや特徴も豪ドルに似ていて、高金利なため、大きなスワップポイントが期待できます。

通貨ペア選びの注意点

通貨ペア選びに際しては、以上のポイントに加え、注意すべき点もありますので、以下に挙げておきます。

マイナー通貨はハイリスク

取引量が多い主要通貨は、メジャー通貨と呼ばれ、メジャー通貨以外の通貨は、マイナー通貨と呼ばれます。

メジャー通貨 マイナー通貨
  • 米ドル(USD)
  • ユーロ(EUR)
  • 円(JPY)
  • ポンド(GBP)
  • スイスフラン(CHF)
  • カナダドル(CAD)
  • 豪ドル(AUD)
  • NZドル(NZD)
  • 南アフリカランド(ZAR)
  • トルコリラ(TRY)
  • ノルウェークローネ(NOK)
  • デンマーククローネ(DKK)
  • スウェーデンクローナ(SEK)
  • 香港ドル(HKD)
  • シンガポールドル(SGD)
  • メキシコペソ(MXN)

マイナー通貨は、先進国通貨が多く、概して、高金利にあることから、スワップポイント狙いの個人投資家を中心に人気があります。なお、定番のマイナー通貨としては、南アフリカランドやトルコリラが挙げられます。

確かに、大きなスワップポイントは魅力ではありますが、マイナー通貨は、取引量の少なさゆえ、値動きが荒っぽく、乱高下しやすいため、うまく値動きについて行くことが難しい通貨でもあります

FX初心者が、下手に手を出すと、相場に飲まれてしまって、一瞬の内に大きな損失を被る危険性もあるので、注意が必要です。マイナー通貨には、慣れるまでは手を出さないようにしておきましょう。

クロス通貨は分析が複雑になる

米ドルを含む通貨ペアをドルストレート、米ドルを含まない通貨ペアをクロス通貨と呼びますが、クロス通貨の取引には、少々注意が必要です。

ユーロ/円のようなクロス通貨は、米ドルが絡まないように見えて、実は、値動きに米ドルの影響を受けます。というのも、米ドルは、世界の基軸通貨であることから、他の通貨に交換するためには、必ず、一旦、米ドルに交換する必要があるからです。ユーロ/円であれば、ユーロと日本円の取引の間に、ユーロと米ドル、米ドルと日本円の取引が隠れているのです。

クロス通貨が厄介なのは、3種類の通貨が絡むことによって、値動きを分析する際に、その3種類の通貨の力関係を考えなければならない点です。ドルストレートであれば、米ドルと他の通貨の2種類の力関係だけを考えれば良いですが、クロス通貨は、米ドルが絡むことによって、分析が多少複雑になります。

ドルストレートの方が、分析はシンプルで済むと考えておきましょう。

FX初心者の方におすすめの通貨ペア

ここまでの内容を踏まえて、トレードにおすすめの通貨ペアをご紹介します。もちろん、この通貨ペアでなければいけないということではありませんが、通貨ペア選びに迷った際には、参考にしてみてください。

FX初心者の方におすすめの通貨ペア

初心者の方は、値動きが大き過ぎず、安定しているという点を重視して、通貨ペアを選ぶと良いでしょう。

初めから値動きが大きな通貨ペアをトレードすると、大きな損失を被るリスクが高くなってしまいます。その点を考えると、マイナー通貨や英ポンドといった通貨は、初心者の方にとっては、リスクが高すぎるため、おすすめできません。

まずは、ローリスクの通貨ペアでトレードに慣れることから始めましょう。

FX初心者の方におすすめの通貨ペア
  • 米ドル/円
  • ユーロ/米ドル
  • ユーロ/円

米ドル/円

米ドル/円は、おそらく日本人にとって、最も馴染みのある通貨ペアでしょう。FXにおいても、定番の通貨ペアです。

米ドル/円は、ユーロ/米ドルに次いで取引量が多く、値動きも安定していることから、初心者向けの通貨ペアと言うことができます。控えめな値動きから、物足りなさを訴えるトレーダーもいますが、初心者の方にとっては、リスクが大きくなく、安心してトレードができるはずです。

スプレッドは、どのFX会社も、数ある通貨ペアの中で、最も狭く設定していることから、低コストで取引できる点も好評価です。

とりあえずは、米ドル/円からトレードに慣れてみると良いでしょう。

ユーロ/米ドル

本当は、米ドル/円以上におすすめしたい通貨ペアが、ユーロ/米ドルです。

ユーロ/米ドルは、世界で最も取引量が多い通貨ペア。日本国内では、米ドル/円が最もメジャーな通貨ペアですが、世界的には、ユーロ/米ドルです。そのため、値動きが安定していて、テクニカル分析にも素直に反応してくれます。

米ドル/円は、時間帯によっては、値動きが停滞しがちで、利益を上げることが難しい場面があります。対するユーロ/米ドルは、米ドル/円以上に取引が活発で、適度な値動きが期待できることから、トレードに最も適している通貨ペアと言うことができます。

初めの内は、日本円を含む通貨ペアでないと、抵抗があるかもしれませんが、FXに慣れてきたら、ユーロ/米ドルのトレードにも挑戦してみてください。

ユーロ/円

米ドル/円では、値動きが物足りない、ドルストレートのトレードには抵抗があるという方におすすめなのが、ユーロ/円です。

ユーロは、米ドルに次ぐ取引量と誇る通貨で、米ドルに比べると、値動きも大きいので、より大きな利益が期待できます。

ただ、クロス円の通貨ペアとなることから、ユーロ、米ドル、日本円という3つの通貨の力関係を考えなければならないため、分析が多少複雑になる点には、注意が必要です。

スワップポイント狙いのトレードにおすすめの通貨ペア

スワップポイント狙いの場合は、何よりも、金利に注目して通貨ペアを選ぶ必要があります。低金利通貨と高金利通貨の通貨ペアでなければ、スワップポイントを受け取ることはできません。

スワップポイント狙いのトレードにおすすめの通貨ペア
  • 豪ドル/円
  • NZドル/円ーロ/米ドル

スワップポイント目的のトレードに利用される通貨ペアとしては、豪ドル/円やNZドル/円が定番です。

豪ドルやNZドルは、資源国通貨の代表格で、先進国通貨の中でも、金利は高い水準にあります。対する日本円は、低金利通貨の代表的存在。高金利通貨と低金利通貨の組み合わせである豪ドル/円やNZドル/円は、スワップポイント目的のトレードに適していると言えます。

ただし、金利変動によっては、受け取れるスワップポイントが減ったり、最悪の場合、マイナススワップとなって、スワップポイントを支払わなければならないことも考えられますので、注意が必要です。

通貨ペア選びのまとめ

通貨ペアを選ぶ際には、まず、通貨の特徴を理解するところから始めましょう。自分のトレードスタイルと通貨の特徴を考えて、取引する通貨ペアを選ぶようにすると、通貨ペア選びに失敗することはなくなります。

FX初心者の方は、取引量が多く、値動きが安定している米ドル/円やユーロ/米ドル、ユーロ/円といった通貨ペアがおすすめ。通貨ペア選びに迷ったら、これらの通貨ペアを選ぶと良いでしょう。反対に、マイナー通貨のように値動きが荒っぽい通貨は、初心者向けではありません。いきなりこれらの通貨を取引するのは、避けましょう。

まずは、米ドル/円、ユーロ/米ドル、ユーロ/円を中心に、トレードを始めてみてください。