FXと外貨預金の違いは?お得なのはどっち?両者の特徴を徹底比較!

FXと同じ外貨を利用した金融商品に外貨預金があります。FXも外貨預金も、外貨を取引するという点では、共通していますが、両者には、多くの違いがあります。

そこで、このページでは、FXと外貨預金の違いについて、解説していきます。

外貨預金とは

外貨預金は、円を外貨に交換した上で、金融機関に預ける預金のことです。

外貨預金では、通貨を発行している国や地域の金利水準が適用されることから、円よりも高い金利水準にある外貨に交換することで、円預金に比べ、高い金利が得られる傾向にあります。

また、外貨預金の利益は、利息だけではありません。円高時に預入をして、円安時に解約をすることで、為替差益を得ることもできます。ただ、反対に、円安時に預入をして、円高時に解約をすると、為替差損が発生してしまいます。

そのため、外貨預金では、為替変動によって、元本割れとなる可能性があります。

なお、円預金と同様、預金の出し入れが自由にできる外貨普通預金と預入時に満期日が決まっている外貨定期預金があり、外貨定期預金の方が、外貨普通預金よりも高い金利水準が適用されます。

FXと外貨預金の違い

項目 FX 外貨預金
取引対象 通貨 通貨
利益 為替差益、スワップポイント 為替差益、利息
取引コスト 低(往復0.2銭程度) 高(往復2円程度)
レバレッジ 最大25倍 なし
取引時間 平日24時間 金融機関窓口の営業時間
取引価格 リアルタイムに変動 1日1回更新
取引通貨単位 1~1万通貨 1通貨
資産保護 全額信託保全 なし(ペイオフ対象外)
税制 申告分課税 利息…源泉分離課税、為替差益…総合課税
繰越控除 あり なし

取引対象

FXも外貨預金も、通貨を取引する金融商品ですので、この点に違いはありません。

ただ、外貨預金が、円を外貨に交換する取引であるのに対し、FXは、米ドルとユーロといったように、円以外の通貨の組み合わせの取引も可能です。

また、FXでは、主要国が発行するメジャー通貨の他にも、新興国等が発行するマイナー通貨を取引することもできます。外貨預金の場合、メジャー通貨のみを取り扱っているという金融機関が多いですが、中には、ネットバンクを中心に、高金利が魅力のマイナー通貨を取り扱っているところも見られます。

利益

前述したとおり、外貨預金には、為替差益と利息という2つの利益があります。

対するFXにも、2つの利益があります。ひとつは、外貨預金と同じ為替差益で、もうひとつが、スワップポイントです。スワップポイントは、通貨間の金利差のことで、金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買うことで得ることができます。

スワップポイントは毎日受け取れる

外貨預金の利息もFXのスワップポイントも、通貨の金利による利益であるという点に違いはありませんが、それぞれ、支払われるタイミングが異なります。

外貨定期預金の利息は、満期日に支払われ、外貨普通預金の利息は、毎月1回や年2回支払われるというのが、一般的ですが、FXのスワップポイントは、毎日支払われます。

FXは円高進行時にも為替差益を狙える

また、為替差益についても、FXと外貨預金では、若干の違いが見られます。

外貨預金の為替差益は、円高時に預入をして、円安時に解約することでしか得ることができません。これは、外貨を預入時に安く買って、解約時に高く売ることを意味します。

反対に、円安時に預入をして、円高時に解約をすると、損失が出てしまいます。これは、外貨を高く買って、安く売る取引にあたるからです。

外貨預金では、円安進行時には、為替差益を出すことができますが、円高進行時には、必ず、為替差損が出てしまう仕組みになっています。

一方、FXは、外貨預金と異なり、安く買って高く売る取引だけでなく、高く売って安く買う取引も可能です。そのため、外貨を円高時に買って、円安時に売ることはもちろん、円安時に売って、円高時に買い戻すという取引もできてしまいます。

つまり、FXには、円安進行時だけでなく、円高進行時にも、為替差益を狙えるというメリットがあります。

取引コスト

FXには、取引手数料という仕組みはなく、その代わりに、スプレッドが設けられています。スプレッドは、買値と売値の差のことで、FXにおける実質的な取引コストとなっています。

外貨預金も同様に、スプレッドを設けています。外貨預金においては、TTM(対顧客電信相場仲値)と呼ばれる仲値を基準に、為替手数料を上乗せする形で、取引レートを決定しています。なお、金融機関が顧客に外貨を売る際のレートをTTS(対顧客電信売相場)、金融機関が顧客から外貨を買う際のレートをTTB(対顧客電信買相場)と言います。

スプレッドは、狭いほど低コスト、広いほど高コストです。

FXも外貨預金も、取引コストの仕組みは同じですが、スプレッドの幅は、大きく異なります。

円と米ドルの交換を例にすると、外貨預金の場合、一般的な金融機関は、スプレッドを2円程度としています。一方、FXの場合、米ドル/円のスプレッドは、0.2銭程度です。

FXの手数料は、外貨預金の1/2,000程度ということになります。

手数料の低いネットバンクでは、スプレッドを10銭未満としているところも多いですが、それでも、FXのスプレッドの狭さには、遠く及びません。

つまり、FXは、外貨預金に比べ、圧倒的に低コストということになります。

レバレッジ

FXには、レバレッジをかけることができるという特徴があります。

レバレッジは、少ない資金で大きな取引ができる仕組みのことで、国内のFX会社では、最大25倍のレバレッジをかけることができます。つまり、資金の最大25倍の大きさの取引ができるということです。

一方、外貨預金においては、レバレッジをかけた取引を行うことはできません。

取引時間

取引時間は、FXの場合、土日を除く24時間となっていて、夜間でも取引が可能です。

対する外貨預金は、金融機関の窓口が開いている時間帯のみ取引が可能です。ただし、ネットバンクを中心に、FXと同様、土日を除く24時間取引が可能なところもあります。

取引価格

外国為替市場において、為替レートは常に変動していますが、外貨預金の取引で用いられる為替レートは、1日に1回しか更新されないのが、一般的です。

これに対し、FXでは、リアルタイムに変動する為替レートを用いて、取引を行うことになります。

なお、金融機関の中でも、ネットバンクにおいては、リアルタイムに変動する為替レートを用いて、外貨預金の取引を行うことができます。

取引通貨単位

取引通貨単位とは、一度の注文における最小の取引量のことです。

FXには、取引通貨単位が設けられているため、ある程度まとまった量の通貨を取引することになります。FX会社の中には、取引通貨単位を100通貨や1通貨としているところもありますが、大半のFX会社は、1万通貨または1,000通貨に設定しているため、FXでは、一度に1,000通貨以上の取引を行うのが、一般的となっています。

この点、外貨預金は、1通貨から預入が可能ですので、より少量の取引に対応していることになります。

資産保護

FX会社には、顧客から預かった資産を信託銀行等に保管し、FX会社自身の資産と区分して管理する信託保全が義務付けられています。

そのため、取引を行うFX会社が倒産してしまった場合でも、口座に預け入れている証拠金はもちろんのこと、未決済ポジションの損益や未実現分を含めたスワップポイントといった口座内の資産の全てが、保護されます。

それでは、外貨預金はどうなのかというと、外貨預金には、資産保護の仕組みがありません。

通常の円預金であれば、ペイオフの対象となるため、銀行が破綻した際には、元本1,000万円までとその利息が保護されます。しかし、外貨預金は、ペイオフの対象外となっているため、万が一、銀行が破綻してしまった場合には、外貨預金として預けていた金額については、払い戻される保証はありません。

税制

FXと外貨預金では、税制も異なります。

FXの利益については、為替差益もスワップポイントも雑所得として、申告分離課税の対象となります。税率は、一律20.315%(所得税…15.315%、住民税…5%)です。

これに対して、外貨預金の利益は、利息と為替差益とで税制上の取り扱いが異なります。利息は、利子所得として、20.315%の源泉分離課税の対象となり、為替差益は、雑所得として、総合課税の対象となります。

そのため、外貨預金の為替差益は、所得に応じて、15.105%(所得税…5.105%、住民税…10%)から55.945%(所得税…45.945%、住民税…10%)までの累進課税が適用されます。

簡単に言えば、FXの場合、所得に関係なく一律の税率が適用されますが、外貨預金の場合は、所得が少なければ、税率も低くなり、所得が多ければ、税率が高くなる仕組みとなっています。

なお、外貨預金の利息については、源泉課税のため、確定申告は不要ですが、外貨預金でも為替差益を得た場合とFXで利益を得た場合は、確定申告が必要になります。

繰越控除

繰越控除とは、損失が発生した場合に、その損失を繰り越して、翌年以降の利益から控除することができる仕組みのことです。損失を出してしまった際の税金の減免措置としての役割を持っています。

FXでは、繰越控除が有効で、損失が発生した年の翌年以降3年間の利益から損失額を控除できます。

しかし、外貨預金では、繰越控除の仕組みがないため、損失を出してしまった場合でも、税金の減免措置が適用されません。

なお、FXで生じた損失については、「先物取引に係る雑所得等」に分類される損益のみと損益通算が可能で、外貨預金で生じた為替差損については、他の雑所得と損益通算が可能となっています。

FXは外貨預金より圧倒的に優秀

ここまで、FXと外貨預金の特徴を比較してきましたが、外貨への投資を考えた場合、外貨預金よりもFXの方が、絶対におすすめです。

外貨預金よりもFXをおすすめする理由
  • 圧倒的に低コスト
  • 円安時にも利益を狙える
  • レバレッジをかけられる
  • 資産保護の仕組みが整備されている

特に、コスト面での優位性は、FXが外貨預金を圧倒していて、話にならないレベルの差がついています。

FXは、積極的に為替差益を狙っていくようなアクティブな運用を目指している方はもちろん、利息を得ながら長期的な運用を行いたいという方にとっても、メリットがある金融商品だと言えます。

FXは危険なのか

FXと聞くと、危険というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

確かに、FXでは、レバレッジがかけられることから、大きな利益を得られる可能性がある一方で、大きな損失を被る危険性があります。

レバレッジのおかげで、少額でも取引を行うことができるため、得られる恩恵も大きいのですが、ローリスクな運用を行いたいというのであれば、ローレバレッジの取引を心がけると良いと思います。

レバレッジを抑えるには、それだけ多くの資金が必要になりますが、取引額に見合った資金を用意することで、外貨預金と同じように、レバレッジをかけない運用も可能になります。

まとめ

  • FXも外貨預金も為替差益と利息を得られる点は共通している
  • FXは外貨預金に比べ圧倒的に低コスト
  • レバレッジを抑えることでFXも外貨預金と同じような運用が可能

FXも外貨預金も、同じ外貨を利用した金融商品で、利息と為替差益を得られるという点では共通していますが、両者には、多くの違いがあります。

このページで解説したように、FXには、外貨預金と比較して、優れている点を多く持っていて、総合的に見ても、優位性があると言えます。

ローレバレッジの取引を心がけることで、FXのメリットを享受しながら、外貨預金同様の運用を行うことも可能ですので、外貨預金を利用している方、利用を考えている方は、ぜひ、FXを使った資産運用も検討してみてください。