
テクニカル分析においては、売買シグナルとは異なる値動きをする「だまし」という現象が見られることがあります。
テクニカル分析とだましは切って切れない関係にあるものですが、トレードで勝つ上では、だましとうまく付き合っていくことが、欠かせません。
このページでは、テクニカル分析におけるだましについて、解説します。だましの回避策と対策についても、ご紹介しますので、参考にしてください。
だましとは
だましとは、テクニカル分析において、売買シグナルとは異なる値動きを見せることを言います。
テクニカル分析においては、チャートを用いて、今後の値動きを予測し、売買のポイントを探ることになりますが、必ずしも、セオリーどおりの値動きを見せるとは限りません。ときには、フェイクとなるシグナルを発することもあり、これをだましと呼びます。
だましの典型例
ここでは、だましの典型的な例を見ていきます。
移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロス
移動平均線の売買シグナルには、ゴールデンクロスとデッドクロスというものがあります。
短期移動平均線が、長期移動平均線を下から上に突き抜けることをゴールデンクロスといい、ゴールデンクロスは、下降トレンドから上昇トレンドへの転換のサイン、また、短期移動平均線が、長期移動平均線を上から下に突き抜けることをデッドクロスといい、デッドクロスは、上昇トレンドから下降トレンドへの転換のサインです。
従って、移動平均線がゴールデンクロスを形成した際は、買いのシグナル、デッドクロスを形成した際は、売りのシグナルとなるのが、定石です。
しかし、だましが発生した場合は、セオリーどおりの値動きは見せず、ゴールデンクロスを形成したにもかかわらず、下落が継続することになりますし、デッドクロスを形成したにもかかわらず、上昇が継続することになります。
レンジ相場におけるラインブレイク
一般的に、レンジ相場においては、サポートラインやレジスタンスラインをブレイクした場合は、ブレイクした方向に大きく値が動き、新たな相場局面を形成するというのが、セオリーとされています。
サポートラインのブレイクは、売りのシグナル、レジスタンスラインのブレイクは、買いのシグナルです。
しかし、ラインブレイクを見せたにもかかわらず、その方向に値が進むことなく、元のレンジに戻ってしまうことがあります。サポートラインのブレイク後、再度上昇するケースやレジスタンスラインのブレイク後、再度下落するケースが、これに該当し、この場合は、だましが発生したということになります。
だましの回避策と対策
テクニカル分析において、だましは付き物で、だましをいかに避けるかというだましの回避策とだましに引っかかった際の対策というのが、非常に重要になってきます。
そこで、以下では、だましの回避策とだましへの対策をご紹介します。
- 複数のテクニカル指標を組み合わせる
- 売買ポイントに遊びを持たせる
- 損切りを徹底する
複数のテクニカル指標を組み合わせる
有効なだましの回避策が、複数のテクニカル指標の併用です。
ひとつのテクニカル指標だけなく、複数のテクニカル指標を根拠に、売買のポイントを探るようにすれば、だましの数は、確実に減らすことができます。
特徴の異なるテクニカル指標を組み合わせることで、相場分析の精度は、大きく高まり、だましの数も減らすことができますので、テクニカル分析の際は、常に、複数のテクニカル指標を用いて、値動きの予測を行うようにしましょう。
売買ポイントに遊びを持たせる
だましを避けるためには、売買のポイントに遊びを持たせることも重要です。
例えば、レンジ相場におけるラインブレイクを狙う際、エントリーとイグジットのポイントをサポートラインやレジスタンスラインとあまりに近い水準に設定してしまうと、わずかなだましにも、引っかかってしまいます。
この場合、売買のポイントをタイトにせず、サポートラインやレジスタンスラインから少し離れた水準に設定しておくことで、だましの数を減らすことができます。
相場の世界には、「頭と尻尾はくれてやれ」という格言がありますが、この格言どおり、注文を入れる際は、若干の遊びを持たせて、売買ポイントを設定する方が無難です。
損切りを徹底する
だましの数を減らすことはできますが、完全になくすことは不可能です。そこで、重要なのが、だましに遭った際の対応です。
だましに引っかかってしまった場合は、早めの損切りを心がけましょう。
基本中の基本ではありますが、だましが疑われた際の対応としては、損切り以外にはありません。
セオリーどおりに値が動かなかった場合でも、損切りを執行できず、含み損を広げてしまうというのは、初心者には、よくあることです。だましかどうか判断がつかない場合であっても、少しでも、だましが疑われるのであれば、変な期待は持たず、思い切って損切りをするべきです。
大切なのは、気持ちを切り替えて、次のトレードに向かうことです。だましの可能性が疑われる場合は、損小利大を意識して、損切りを徹底するようにしましょう。
まとめ
- テクニカル指標は、テクニカル分析の精度を高めるためのチャート上に表示させる分析ツール
- だましは、テクニカル分析において、売買シグナルとは異なる値動きを見せること
- 複数のテクニカル指標を併用することで、だましの数は減らすことができる
- だましに遭った場合は、早めの損切りを心がける
テクニカル分析にだましは付き物で、どのようなテクニカル指標や分析手法を用いても、完全になくすことはできません。
そのため、だましの数をいかに減らすか、だましに遭った際にどのように対応するかが重要になってきます。このページで解説した回避策や対策を心がけて、だましとうまく付き合いながら、トレードに臨むようにしてみてください。