チャートにできる窓とは│窓開けの意味から窓埋めを狙ったトレードテクニックまで徹底解説!

FXにおいては、チャート上に窓と呼ばれる空間ができることがあります。窓には、大切な意味が隠されていて、今後の値動きを予測する上でも、大きな意味を持つことがあります。

ここでは、チャート上にできる窓の意味や窓が発生したときの取引手法について、解説しています。窓開け時のテクニックをマスターすることで、トレードを優位に進めることができますので、ぜひ参考にしてみてください。

チャートの窓とは

チャートに開くとは、ローソク足とローソク足の間にできる空間のことです。

FXにおけるチャートの窓

通常、隣り合う前後のローソク足は、上下に空間が開くことなく、重なり合いながら推移していきます。ところが、稀に、前後のローソク足が重なり合うことなく、隙間が開くことがあります。これが、窓です。

窓は、隣り合うローソク足の終値と始値の間に大きな開きがあるときに見られる現象で、相場の勢いが強いことを示しています。上昇の勢いが強い場合は、上方向に窓が開きますし、下落の勢いが強い場合は、下方向に窓が開きます。

なお、窓は、ギャップとも呼ばれ、窓が開くことを窓開け、また、上に開く窓を上窓やギャップアップ、下に開く窓をした窓やギャップダウンと呼びますので、覚えておきましょう。

チャートに窓が開く理由

先にも触れたように、窓は、隣り合うローソク足の終値と始値の間に大きな乖離がある場合に現れます。

終値と始値の間に乖離が生じるとはどういうことかというと、前のローソク足の終値では、売買が成立しなかったため、その終値とは異なる価格で取引が始まったということです。

通常、この終値と始値の乖離は、それほど大きなものではありません。ところが、相場を大きく動かす好材料や悪材料が生じると、この乖離は大きなものとなります。つまり、これまで取引されていた為替レートでは、誰も取引を行いたがらず、新たな為替レートでの取引が始められるということです。

このようなローソク足の終値と始値のギャップが窓として、チャート上に現れているのです。

チャートに窓が開きやすい状況

為替の世界では、窓は、日常的に発生するものではありません。

実際にチャートを見ていても、窓が開いている個所というのは、非常に少ないはずです。

FXにおいて、窓は、それだけ珍しいものなのですが、窓が開きやすい状況というのも、存在します。それが、週明け月曜朝のマーケットオープン時と市場の流動性が低下しているときです。

チャートに窓が開きやすい状況
  • 週明け月曜朝のマーケットオープン時
  • 流動性が極端に低下しているとき

週明け月曜の朝のマーケットオープン時

FXにおいて、最も窓開けが発生しやすいのが、週明け月曜の朝です。

外国為替市場における主要なマーケットは、土日は取引が行われていません。市場が閉まっている土日に、相場を大きく動かすニュースが流れたり、イベントが発生すると、取引が再開される月曜朝に窓が開くことがあります。

FXにおいて窓が発生しにくい理由

窓は、株式投資の世界では、決して珍しい現象ではないのですが、株式投資と比べると、FXにおける窓は、発生する頻度が非常に低いです。

というのも、FXの舞台となる外国為替市場は、24時間休みなく取引が行われており、チャート上のローソク足も、絶え間なく表示されることから、ローソク足の始値と終値の間に乖離が生じにくいのです。

株式市場の場合は、毎日の取引時間が決まっているため、市場が閉まっている時間帯に、相場を動かす材料が生じると、その翌日の市場で窓が開くことになります。

しかし、外国為替市場の場合は、ウェリントン市場に始まり、東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場とマーケットが開いていく訳ですが、ニューヨーク市場がクローズする時間帯には、既に翌日のウェリントン市場での取引が行われています。

この外国為替市場において、唯一取引が行われていない時間帯が、金曜のニューヨーク市場のクローズから翌週月曜のウェリントン市場のオープンまでの時間帯。要するに、土日です。この土日に相場を大きく動かす材料が市場に発生すると、月曜朝のウェリントン市場のオープン時に窓が開くことになります。

外国為替市場は、土日しかクローズしていないため、FXでは、窓が開きにくく、また、市場が再開する月曜朝に窓が開きやすいのです。

週末ポジションの持ち越しにはリスクも

スイングトレードやポジショントレードを主としている場合、週をまたいでポジションを保有し続けることは、当然のようにあると思います。また、デイトレードを主としている場合でも、状況によっては、週末に持ったポジションを翌週に持ち越すことがあるかもしれません。

ここで、注意しておきたいのが、ポジションを翌週に持ち越すことには、多少のリスクがあるという点です。

土日に相場を大きく動かすサプライズ等が起きると、週明けの取引再開時に窓を開けることがあります。保有中のポジションに有利な方向に窓が開く分には、何の問題もありませんが、不利な方向に窓が開いた場合は、一瞬の内に大きな損失を被る可能性もあります。

週末にポジションを持ち越してしまうと、土日にネガティブな材料が生じた場合でも、週明けまで対応することができません。これが、いわゆる週末リスクです。

週をまたいでポジションを保有することは、一概に悪いとは言い切れませんが、このようなリスクがあるということは、理解しておいてください。

基本的には、長期取引を前提としている場合を除き、保有中のポジションはその週の内に決済し、週末にポジションを持ち越さないようにしておく方が良いでしょう。

流動性が極端に低下しているとき

月曜朝以外で窓開けの可能性が高いのが、市場の流動性が極端に低下したときです。

流動性というのは、言い換えると、市場での取引量や取引のしやすさのこと。流動性が高い市場は、取引量が多く、取引を成立させやすいのですが、流動性が低い市場では、取引量が少ないため、取引を成立させるのが、難しくなってしまいます。

流動性の低い市場において、相場を大きく動かす材料が生じた際には、市場参加者の買いたい価格と売りたい価格に大きな乖離ができて、値が飛ぶことがあります。これが、チャート上に窓という形で現れるのです。

流動性が低下する状況としては、重要指標発表前後やニューヨーク市場がクローズした後の日本時間の早朝、祝日等の市場参加者が少ない時間帯が考えられます。

特に気を付けなければいけないのが、重要指標の発表前後です。米雇用統計のように、今後の世界経済を占うような重要指標の発表時には、市場の流動性が低下し、値も乱高下を起こしやすくなります。指標発表の結果、市場予測を裏切るようなサプライズとなった場合には、値飛びを起こし、窓を開けることがありますので、重要指標発表前後には、ポジションを解消しておく方が無難です。

マイナー通貨は流動性が低い

米ドルやユーロ、日本円を始めとするメジャー通貨については、平常時は、流動性が維持されていますが、南アフリカランドやトルコリラといったマイナー通貨の取引となると、話は別です。

というのも、マイナー通貨は、そもそも取引量が少なく、メジャー通貨に比べると、常に、流動性が低い状況にあるからです。

マイナー通貨の取引を行う際には、マイナー通貨は、メジャー通貨に比べると、平常時でも、窓開けを起こしやすいということを頭に入れておくと良いでしょう。

サプライズによって平常時でも窓は開く

なお、市場を揺るがすようなインパクトの大きな出来事が起きた場合は、月曜朝や流動性が低い時間帯とは関係なく、平常時でも、窓が開くことがあります。

サプライズ的に発せられた要人発言やニュース、更には、市場にパニックをもたらすようなテロや自然災害といった地政学的リスクが生じた場合には、急激に流動性が低下し、平常時でも、問答無用で窓を開ける可能性がありますので、このような出来事が起きた際には、市場の動向を注視しましょう。

窓開け時のトレードテクニック

以下では、チャートに窓が開いた場合の取引手法をご紹介します。週明けの窓開け時には、有効なテクニックとなりますので、ぜひ参考にしてみてください。

ただし、いくら窓が開いているからといって、重要指標発表前後や相場がパニックに陥っている状況下で取引を行うのは、非常に危険です。流動性が低い状況において、安易に取引をするのは、御法度。ここでご紹介するテクニックは、基本的に、週明けの窓開け時に用いるものとして、考えておいてください。

窓埋めを狙った逆張り

窓が開いた際に有効と言われているのが、窓埋めを狙ったトレードです。

窓埋めとは、窓を開けた後、窓を開けた方向とは反対の方向にローソク足が動くことを指します。

どんなに強いトレンドであっても、いつかは、調整が入ります。チャート上に開いた窓にも同様のことが言え、窓が開くと、その後、窓を開けた方向とは反対の方向に値が動くことがあります。

窓埋めトレード

このチャートでは、下方向に窓を開けた後、ローソク足が上昇し、窓を埋めるような動きを見せていることが分かると思います。この動きが、窓埋めです。

窓開け時には、この窓埋めを狙った逆張りトレードが、よく用いられます。窓が開いた方向とは反対の方向に逆張りでエントリーして、窓埋めの値幅を利益に変えようとするものです。

窓が開いた後には、窓埋めが起きることが多く、戦略としても、シンプルで分かりやすいため、週明けに窓が開いた際には、有効な取引手法となります。

窓埋めが発生しない可能性もある

ただし、必ず頭に入れておかなければならないのが、埋まらない窓もあるということです。

窓が開くということは、窓が開いた方向への勢いが強いということです。そのため、窓を埋めることなく、窓を開けた方向に値が進むということも十分考えられます。

窓を埋めないケース

このチャートでは、下方向に窓が開いた後、その窓を埋めることなく、下落が続いています。

逆張りをしたところ、窓埋めが起きなければ、損失が膨らむだけですので、いくらローソク足に窓を埋める性質があると言えども、窓埋めを狙って逆張りをする際には、損切りを忘れないようにしましょう。

窓が開いた方向に順張り

窓埋めを狙った逆張りの他に、窓が開いた方向に順張りでついて行くという手法もあります。

繰り返しになりますが、窓が開くということは、上昇または下落の勢いが強いということ。一度、窓埋めの動きを見せても、その後は、再度、窓を開けた方向に値が進むことが多いです。

窓開け順張りトレード

このチャートでは、下方向に窓を開けた後、一旦は、反発して窓を埋めていますが、その後は、再度、下落の勢いを強めていることが分かります。

窓開けをきっかけに、窓を開けた方向にトレンドができるのは、決して珍しいことではありませんので、窓を開けた方向に順張りでエントリーするというのも、有効なテクニックです。

チャート上の窓のまとめ

チャートに開く窓は、上昇または下落の勢いが強い場合に現れます。買い勢力が強い場合は、上方向に窓が開き、売り勢力が強い場合は、下方向に窓が開きます。

FXにおいて、チャート上に窓が開くことは、決して多くありませんが、週明け月曜朝のマーケットオープン時は、窓が開きやすい状況にあります。この窓を狙った取引手法は、FX初心者の方でも、取り入れやすいと思いますので、ぜひ実践してみてください。