移動平均乖離率はローソク足と移動平均線の乖離を数値化したテクニカル指標

移動平均乖離率とは

移動平均乖離率は、名前からも読み取れるように、移動平均線とローソク足との乖離率を示すオシレーター系のテクニカル指標です。

ローソク足には、移動平均線に近付こうとする性質があり、急騰や急落によって、一旦、ローソク足が移動平均線から大きく乖離すると、その乖離を埋めるように、移動平均線の方に戻るような値動きを見せます。

移動平均線は、過去の一定期間の終値の平均値を結んだ線ですので、移動平均乖離率は、過去の一定期間における平均価格からどれだけ買われ過ぎているのか、または、売られ過ぎているのかを判断するための指標と言うことができます。

なお、移動平均線については、以下の記事で詳しくまとめていますので、参考にしてみてください。

移動平均乖離率の見方

移動平均乖離率

これは、ユーロ/米ドルの1時間足チャートに75EMAと75EMAとの移動平均乖離率を表示させたものです。

チャートの下に表示されたサブウィンドウの緑の線が移動平均乖離率で、サブウィンドウに横向きに引かれた点線が、乖離率0%の線となります。つまり、移動平均線とローソク足に乖離がない状態を示す線です。

移動平均乖離率の線が、乖離率0%の線に近いほど、ローソク足と移動平均線の乖離幅が小さいことを表していて、移動平均乖離率の線が、乖離率0%の線から遠いほど、ローソク足と移動平均線の乖離幅が大きいことを表しています。

また、移動平均乖離率が、乖離率0%を上回っていれば、ローソク足が、移動平均線を上回って乖離していることを表していて、乖離率0%を下回っていれば、ローソク足が、移動平均線を下回って乖離していることを表しています。

この辺については、チャートに表示されたローソク足と移動平均線、移動平均乖離率の位置関係を照らし合わせながら見てみると、よく分かると思います。

移動平均乖離率において目安となる値

FX初心者の方にとって、移動平均乖離率を用いる際に気になるのが、乖離率がどの程度であれば、買われ過ぎ、売られ過ぎと言えるかという点ではないでしょうか。

ただ、残念なことに、移動平均乖離率において、マーケットの行き過ぎを判断するための目安となる明確な値は、存在しません。

というのも、買われ過ぎや売られ過ぎは、その時々の相場の状況によって異なり、値で判断することができないからです。更に言えば、移動平均線の設定期間や通貨ペアによっても、許容される乖離幅は異なります。

そのため、移動平均乖離率をトレードに用いる際には、乖離率の値に目を向けるのではなく、過去の水準と比較して、現在の乖離幅がどの程度大きいかによって、相場の行き過ぎ感を判断する方が、賢明です。

移動平均乖離率の使い方

移動平均乖離率の使い方はシンプルで、移動平均乖離率が、0%を大きく上回れば、売りのシグナル、0%を大きく下回れば、買いのシグナルとなります。つまりは、乖離率が大きくなったところを逆張りで狙うというものです。

移動平均乖離率の使い方

このチャートにおいても、移動平均乖離率が際立って大きくなったポイントでは、直後に、反対の方向に値が動いていることが分かると思います。

そもそも、買われ過ぎや売られ過ぎというマーケットの行き過ぎには、どこかのタイミングで必ず調整が入ります。買われ過ぎていれば、調整の売りが入りますし、売られ過ぎていれば、調整の買いが入るのです。

移動平均乖離率は、この買われ過ぎ、売られ過ぎを、移動平均線を基準に判断するための指標です。

繰り返しになりますが、移動平均線は、過去の一定期間における平均価格を結んだものになりますので、平均値を大きく上回っていたり、大きく下回っていたりすれば、それは、買われ過ぎや売られ過ぎと判断することができます。

乖離率が大きくなれば、やがて反転して調整の買いや売りが入るであろうと予測して、逆張りを入れるというのが、移動平均乖離率の主な活用法です。

ちなみに、移動平均線とローソク足を用いたテクニカル分析手法であるグランビルの法則でも、「ローソク足が、下向いている移動平均線から大きく乖離して下落した場合は、買い」、「ローソク足が、上向いている移動平均線から大きく乖離して上昇した場合は、売り」と述べられていて、ローソク足と移動平均線の乖離が大きくなったところを逆張りで攻めるという手法は、相場のセオリーとも言えます。

移動平均乖離率のまとめ

移動平均乖離率は、移動平均線とローソク足の乖離を分かりやすく視覚的に表したテクニカル指標です。

テクニカル分析に欠かすことのできない移動平均線とローソク足の乖離に目を向けることは、トレードにおいて、重要なポイントになりますので、うまく活用してみてください。