
証拠金とは
証拠金とは、FXの取引を行うにあたって、投資家がFX会社に預けておくお金のことです。
FXは、日本語で外国為替証拠金取引と言います。証拠金を元に行う外国為替取引だから、外国為替証拠金取引。そのままですね。
投資家は、証拠金を元にトレードを行う訳ですが、預けた証拠金の額しか取引ができないのかというと、そうではありません。FXでは、レバレッジをかけることができるため、証拠金の最大25倍の額の取引ができることになります。
言ってみれば、証拠金は、FX会社に預けておく担保のようなもので、投資家は、証拠金という担保を元にトレードを行うということです。
有効証拠金と必要証拠金
証拠金は証拠金でも、特別な意味を持つ言葉があります。それが、有効証拠金と必要証拠金です。これらの意味についても、あわせて理解しておきましょう。
有効証拠金とは
有効証拠金は、預けている証拠金に含み益や含み損といった評価損益を加減した額のことです。
有効証拠金=証拠金±評価損益
ポジションを持った後、為替レートの変動によって含み益が生じれば、証拠金に加算されますし、含み損が生じれば、証拠金より差し引かれます。含み益や含み損を加味したものが、有効証拠金です。もちろん、保有しているポジションがなければ、含み益も含み損もありませんので、預けている証拠金の額と有効証拠金の額は、同額になります。
例えば、10万円の証拠金をFX会社に預けていたとして、保有中のポジションが、1万円の含み損を抱えていたとすると、有効証拠金は、9万円(10万円-1万円)となります。
預けている証拠金の内、有効に扱える証拠金が、有効証拠金ということですね。
必要証拠金とは
必要証拠金は、ポジションを維持するために必要な証拠金のことで、取引額をレバレッジで割ることで求められます。
必要証拠金=取引額(為替レート×取引量)÷レバレッジ
例えば、1米ドル=100円のとき、米ドル/円において、1万通貨の取引を行う場合、レバレッジが25倍とすると、必要証拠金は、4万円(=1万米ドル×100円÷25)となります。
ポジションを持つには有効証拠金が必要証拠金を上回る必要がある
新規でポジションを持とうとした場合、ポジションを持つために必要な必要証拠金の額を預けた証拠金の内、有効な部分を指す有効証拠金が上回っていなければ、ポジションを持つことはできません。
有効証拠金が必要証拠金を下回っている場合は、資金不足ということになりますので、トレードはできないのです。
証拠金維持率とは
証拠金に関する指標として、もうひとつ理解しておきたいものがあります。それが、証拠金維持率です。
証拠金維持率は、必要証拠金に対する有効証拠金の割合を示す指標で、以下の計算式で求められます。
証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金×100
証拠金維持率が、100%以上であれば、有効証拠金の額が、必要証拠金の額以上の水準にあることを意味しています。つまり、ポジションを維持するために必要な証拠金の額に不足がないということです。
反対に、証拠金維持率が、100%を下回っていれば、有効証拠金の額が、必要証拠金の額を下回っていることを意味しており、本来、取引を行うために必要な証拠金が足りていないということになります。つまり、証拠金維持率が、100%未満の状態は、取引をするために必要なお金を持っていない状態ということです。
証拠金維持率はマージンコールやロスカットの基準となる
なぜ証拠金維持率が重要なのかというと、証拠金維持率が、マージンコールやロスカットを行う基準になるからです。証拠金維持率が一定水準を下回ると、マージンコールやロスカットが執行されてしまいます。
なお、マージンコールは、FX会社より送られる追加の証拠金を求める警告のことで、ロスカットは、保有ポジションが強制的に決済される処置のことです。
- マージンコール
- 追加証拠金の入金を求める警告
- ロスカット
- 保有ポジションの強制決済
マージンコールやロスカットを行う基準は、FX会社によって異なりますが、ロスカットされてしまえば、強制的に損失を確定されてしまいます。トレードを行うFX会社のマージンコールとロスカットの水準については、あらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。
口座に預けている証拠金が、危険な水準まで減少している際に執行されるのが、マージンコールとロスカットです。決して良い印象のないマージンコールとロスカットですが、投資家の資金を守ってくれる重要な役割を担っています。
証拠金維持率は高いほど安心
証拠金維持率が低いほど、ロスカットのリスクは高くなります。反対に、証拠金維持率が高いほど、ロスカットのリスクは低くなり、資金に余裕を持ったトレードができている証拠になります。証拠金維持率は、高ければ高いほど、安心です。
証拠金維持率をいたずらに下げないよう、証拠金維持率には、細心の注意を払っておきましょう。
証拠金維持率を下げないためにすべきこと
最後に、証拠金維持率を下げないためにすべきことを挙げておきます。これらの対応を取って、余裕のあるトレードを心がけてください。
- 損切りを徹底する
- 十分な証拠金を用意する
- 取引量を減らす
損切りを徹底する
トレードに失敗した際に、損切りを徹底することは、非常に重要です。どんなに優秀なトレーダーも、すべてのトレードに勝っている訳ではありません。失敗した際は、うまく損切りを行っているのです。
初心者にありがちなのは、損失を確定させるのが怖くて、含み損が膨らんでいくパターン。結果、証拠金維持率が下がって、ロスカットの危険性が高くなってしまいます。
失敗した際には、潔く負けを認めて、傷が浅い内に損切りをするのが、賢明です。
決済によって、含み益を確定させる利益確定と含み損を確定させる損切り。FXの基本中の基本ですが、適切な利確と損切りは、かなり難しいものです。勝てるトレーダーになるため、正しい利確と損切りの方法をしっかり身につけましょう。
十分な証拠金を用意する
証拠金維持率を上げるために最も手っ取り早いのが、この方法です。預け入れる証拠金を増やせば、有効証拠金を増やすことができますので、結果的に、証拠金維持率を上げることができます。
資金的に余裕があるのであれば、まとまった額の証拠金を用意するのも、ひとつの手です。
取引量を減らす
証拠金は、多いに越したことはありませんが、誰もが、まとまった資金を用意できる訳ではありませんよね。
限られた資金でトレードをしようと思ったら、取引量をコントロールして、証拠金維持率をキープするのが、得策です。
例えば、5万円の証拠金しかないにもかかわらず、1万通貨の取引を行うのは、かなりリスキー。1米ドル=100円とすれば、必要証拠金は、4万円ですので、ポジションを持つことはできますが、為替レートが1円変動すれば、1万円の損失が発生してしまうため、すぐに証拠金維持率が、100%を割ってしまう危険性があります。
この場合、取引量を落として、1,000通貨の取引を行えば、証拠金維持率は、1万通貨での取引の10倍の水準まで持っていくことができます。
なお、取引量の最低水準は、各FX会社が定めている取引通貨単位に依存しますので、取引量を落とすためには、取引通貨単位の小さなFX会社を選ぶ必要があります。
ちなみに、FXにおける投資資金は、必要証拠金の3倍から5倍の金額を目安に用意しておくことをおすすめします。このくらいの金額であれば、ある程度の損失にも耐えられるはずです。この金額が用意できないようであれば、取引量を減らすことを考えましょう。
過度なリスクを背負わないよう、資金とのバランスを考えて、取引量を決定することが大切です。
証拠金のまとめ
証拠金は、FXでトレードをするために欠かせないもので、トレーダーは、証拠金にレバレッジをかけて取引を行います。
また、トレードに際して、重要な指標となるのが、証拠金維持率です。証拠金維持率が一定水準を下回ると、ロスカットによって、強制的に損失を確定されてしまいますので、細心の注意を払っておかなければなりません。
証拠金維持率を保つためには、証拠金に見合った量の取引を行うことが大切です。資金に余裕を持ったトレードを心がけましょう。