
- マージンコールとロスカットは投資家の資金を守る仕組み
- マージンコールは、追加証拠金の入金を求める警告
- ロスカットは、保有ポジションの強制決済
- マージンコールやロスカットに遭わないような取引を心がけることが大切
マージンコールとロスカットは投資家の資産を守る仕組み
FXは、レバレッジを効かせることができることから、資金の最大25倍の額の取引を行うことができます。そのため、少額で大きな取引ができるという特徴を持っているのですが、大きな取引ができるということは、利益とともに損失も大きくなるということを意味します。
FXは、危険と言われることがありますが、レバレッジにより、トレードに失敗した際、大きな損失を被る危険性があることが、その最大の理由です。
確かに、考えてみると、資金以上の取引を行っているということは、トレードに失敗すると、資金以上の損失を被ることもあり得そうな気がします。
しかし、そうはならないのが、FX。過度な損失を防ぐための仕組みが、しっかり設けられているのです。
その仕組みが、マージンコールとロスカット。
マージンコールとロスカットのおかげで、原則、預けた証拠金以上の損失は出ないようになっています。マージンコールもロスカットも、あまり良い意味で捉えられることがないのですが、実は、投資家の資産を守ってくれる超重要な役割を果たしてくれているのです。
マージンコールとロスカットは証拠金維持率を基準に執行される
マージンコールとロスカットの解説に入る前に、押さえておきたいのが、証拠金維持率という言葉です。
証拠金維持率は、必要証拠金に対する有効証拠金の割合を示す指標で、以下の計算式で求められます。
証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金×100
なお、有効証拠金は、預けている証拠金に保有しているポジションの含み益や含み損といった評価損益を加味した額のこと。必要証拠金は、ポジションを維持するために必要な証拠金の額のことを指していて、取引額をレバレッジで割ることで求められます。
- 有効証拠金
- 有効証拠金=証拠金±評価損益
- 必要証拠金
- 取引額(為替レート×取引量)÷レバレッジ
証拠金維持率が100%以上であれば、証拠金に不足がないことを意味していて、証拠金維持率が100%を下回っていれば、取引に必要な証拠金が足りていないことを意味しています。ということは、当然、証拠金維持率は、高いほど良いということになります。
マージンコールとロスカットが執行されるのは、この証拠金維持率が、一定水準を下回ったときです。
つまり、マージンコールやロスカットを避けるために、常に気に留めておかなければならないのが、この証拠金維持率という指標なのです。
FXにおける投資資金となるのが、証拠金です。また、証拠金に関しては、有効証拠金、必要証拠金、証拠金維持率という3つの指標があります。この記事では、証拠金とこれらの指標について、分かりやすく解説します。
マージンコールとロスカット
それでは、いよいよマージンコールとロスカットとは何なのかについて、見ていくことにしましょう。
マージンコールとは
マージンコールは、証拠金維持率が、一定水準を下回った際に、FX会社より届く追加の証拠金を求める警告のことで、追加証拠金(追証)とも呼ばれます。
マージンコールが届いた場合、定められた期限までに、証拠金維持率を一定水準まで引き上げることができなければ、保有中のポジションは、強制的に決済されてしまいます。
つまり、マージンコールは、強制決済を免れるためには、何らかの対応を取る必要があるということを教えてくれているのです。マージンコールが届くということは、証拠金維持率が、危険な水準まで低下していると考えてください。
マージンコールが届いた際の対応
マージンコールが届いたら、証拠金維持率を引き上げなければいけませんが、証拠金維持率を引き上げる方法としては、以下が考えられます。
- 追加の証拠金を入金する
- 保有中のポジションを決済する
マージンコールが届いた際の対応として、最も手っ取り早いのが、追加の証拠金を入金すること。資金に余裕がある際には、この方法も選択肢に入るかもしれませんが、おすすめはしません。
マージンコールが届いた際は、追加証拠金を入金するのではなく、保有中のポジションを決済すべきです。
マージンコールが届いたということは、含み損を抱えているということ。含み損を抱えているポジションに余程の自信があるのであれば、証拠金を追加して、保有し続けても良いかもしれませんが、損切りできずに、含み損が膨らみ続けた結果、マージンコールが届くというケースが非常に多いです。
損切りができないまま、マージンコールに至ったのであれば、マージンコールをきっかけに潔く損切りをした方が、賢明です。
なお、これらの対応を取らなくても、為替レートの変動によって、再度、証拠金維持率が一定水準を上回る可能性もありますが、ギリギリの状態にあることは変わりませんので、何らかの手を打って、安全な水準まで証拠金維持率を引き上げるようにしましょう。
ロスカットとは
ロスカットは、強制決済を意味します。ロスカットも、マージンコール同様、証拠金維持率が一定水準を下回った際に執行されるものですが、マージンコールは、あくまでも警告で、ロスカットは、有無を言わせず、保有中のポジションを強制的に決済する処置です。
一般的に、ロスカットが執行される前には、マージンコールがあり、マージンコールがあったにもかかわらず、証拠金維持率を引き上げることができなかった場合に、ロスカットが発動します。
ただし、FX会社によっては、マージンコールが存在せず、いきなりロスカットが執行されるところもありますし、急激な相場変動時等には、マージンコールが届いたとしても、マージンコールに対応する間もなく、一気にロスカット水準まで値が動くこともあります。
マージンコールとロスカットに遭わないためにすべきこと
マージンコールやロスカットは、投資家の資金を守ってくれる仕組みですが、ロスカットが執行されると、証拠金が大幅に毀損してしまいますので、マージンコールやロスカットに遭うというのは、決して好ましいことではありません。
マージンコールが届いてから、手を打つのではなく、マージンコールやロスカットに遭わないよう、普段から対策を取っておくことが重要です。
- 損切りを徹底する
- 証拠金に見合った量の取引をする
まずは、損切りの徹底。トレードの基本中の基本ですが、初心者の内は、損失を確定させるのが怖くて、なかなか損切りに踏み切れなかったりします。損切りを先延ばしにしておくと、含み損がどんどん膨らんで、ロスカットということになりかねませんので、失敗した際には、思い切って損切りをする癖を付けましょう。
決済によって、含み益を確定させる利益確定と含み損を確定させる損切り。FXの基本中の基本ですが、適切な利確と損切りは、かなり難しいものです。勝てるトレーダーになるため、正しい利確と損切りの方法をしっかり身につけましょう。
また、証拠金に見合った額の取引をすることも重要です。
大きく稼ぎたいからといって、あまりに取引量を増やすと、含み損を抱えた際に、ロスカット水準まで証拠金維持率が低下する危険性があるので、注意しておきましょう。あくまでも、資金に見合った取引を心がけてください。
マージンコールとロスカットのまとめ
マージンコールとロスカットは、投資家の資金を守ってくれる仕組みで、どちらも、証拠金維持率が一定水準を下回った際に発動します。
- マージンコール
- 追加証拠金の入金を求める警告
- ロスカット
- 保有ポジションの強制決済
それぞれが発動する証拠金維持率の水準は、それぞれのFX会社によって異なりますが、どのFX会社においても、これらの仕組みのおかげで、基本的には、預けている証拠金以上の損失は出ないようになっています。
ただ、ロスカットに遭うというのは、決して好ましいことではありませんので、普段からマージンコールやロスカットに遭わないよう、損切りを徹底し、資金に見合った取引を心がけておきましょう。