移動平均線はトレンドと売買シグナルを教えてくれる超優秀なテクニカル指標

移動平均線は、超が付くほど基礎的なテクニカル指標でありながら、プロトレーダーまでもが使っているポピュラーかつ実践的なテクニカル指標です。他のテクニカル指標とも相性が良く、様々なテクニカル指標と組み合わせて使うことで、より精度の高い分析が可能になります。

移動平均線は、FXにおいて、欠かすことのできないテクニカル指標ですので、その見方や使い方を確実に頭に入れておきましょう。

移動平均線の基本

移動平均線とは

移動平均線は、過去の一定期間の終値の平均値を結んだ線です。例えば、5日移動平均線であれば、過去5日間におけるそれぞれの終値を足して、5で割った値を結んでできた線になります。

移動平均線

このチャートに表示された緑色の線が、移動平均線です。

ローソク足の動きについて行くような動きを見せているのが、分かると思います。ローソク足が上昇すれば、それに追随するように移動平均線も上昇し、ローソク足が下落すれば、移動平均線も下落しています。

移動平均線が教えてくれるのは、相場のトレンドです。今が、上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか、レンジなのかという情報を知らせてくれるのが、移動平均線の主な役割と考えてください。

移動平均線の期間設定

移動平均線の期間については、任意で設定することができます。設定期間が短いほど、短期的なトレンドを把握するのに役立ちますし、設定期間が長いほど、長期的なトレンドを把握するのに役立ちます。

しかし、任意で設定できると言っても、FX初心者の方からしてみれば、どのような値を設定すれば良いか分からないはず。必ずこれでなければいけないという絶対的な値はないのですが、一般的には、5、25、75、200という値が、よく用いられます。

移動平均線を用いた分析に慣れてきたら、自分なりに設定期間を工夫しても良いですが、基本的には、ポピュラーな5、25、75、200の中から、採用するパラメーターを選んでおけば、問題ありません。

SMAとEMA

実は、一口に移動平均線と言っても、その種類は、1種類だけではありません。よく用いられる移動平均線には、SMAとEMAという2種類があります。SMA(Simple Moving Average)は、単純移動平均線のことで、EMA(Exponential Moving Average)は、指数平滑移動平均線のことです。

SMA
単純移動平均線
EMA
指数平滑移動平均線

SMAは、単純という言葉が示す通り、過去の一定期間の終値を単純に平均化した値を結んでできた線です。計算式で表すと、以下の通りとなります。

SMA=n日間の終値の合計÷n

一方のEMAは、以下の計算式で求められ、SMAのように、単純な平均値ではなく、より現在に近いローソク足の終値、特に、直近のローソク足の終値に比重をかけて平均値を算出します。

EMA={(当日の終値)×2+(前日のEMA)×(n-1)}÷(n+1)

要するに、古いデータよりも新しいデータの方が重要だという考え方の下に求められる移動平均線が、EMAです。

当然ことながら、SMAとEMAは、算出方法が異なるため、チャート上の動き方も異なります。

SMAとEMA

このチャートは、25日SMAと25日EMAを表示させたものです。赤い線が、SMA、青い線が、EMAです。よく見てみると、EMAの方が、SMAよりもローソク足に対して、敏感に反応しているのが分かると思います。

実は、SMAは、過去の終値も直近の終値も同等に扱うことから、どうしても、直近のローソク足への反応が鈍くなってしまい、シグナルを発するのが、遅くなるという欠点を持っています。このSMAの欠点を解消するために考案されたのがEMAで、EMAは、直近のローソク足の動きの影響をより強く反映するため、SMAに比べ、トレンドに素早く反応できるという特徴を持っています。

移動平均線と言えば、SMAの方が、ポピュラーとも言えるかもしれませんが、より使い勝手がよく、実践的なのは、EMAです。移動平均線を使う際には、SMAではなく、EMAを使うことをおすすめします。

移動平均線の見方

移動平均線は、相場のトレンドを教えてくれるテクニカル指標ですが、移動平均線を用いて分析を行う際には、まず、以下の3点に注目してみましょう。

移動平均線の見る際のポイント
  • 移動平均線の向き
  • 移動平均線の傾き
  • 移動平均線とローソク足の位置関係

移動平均線の向き

まず見るべきは、移動平均線の向きです。上を向いているのか、下を向いているのか、横を向いているのかをチェックしてみましょう。移動平均線が上を向いていたら、上昇トレンド、下を向いていたら、下降トレンド、横を向いていたら、レンジと考えられます。

移動平均線の傾き

また、移動平均線の傾きにも注目してみてください。移動平均線の傾きは、トレンドの勢いを表していて、傾きが急であれば、トレンドの勢いは強く、傾きが緩やかであれば、トレンドの勢いは弱いと考えられます。

移動平均線とローソク足の位置関係

最後に、移動平均線とローソク足の位置関係についても、注目してみましょう。

先に触れた通り、移動平均線が上向きであれば、上昇トレンド、下向きであれば、下降トレンドを表していますが、上向きの移動平均線よりもローソク足が、上に位置していれば、強気相場、下向きの移動平均線よりもローソク足が下に位置していれば、弱気相場と判断することができます。つまり、前者の場合は、より上昇する勢いが強いこと、後者の場合は、より下落する勢いが強いことを意味しています。

移動平均線とローソク足の乖離

移動平均線とローソク足の位置関係に注目する際には、移動平均線が、ローソク足からどれ程離れているかについても、気を配っておくと良いでしょう。

上向きの移動平均線から大きく離れて、ローソク足が上昇している場合、買われ過ぎの可能性があり、反対に、下向きの移動平均線から大きく離れて、ローソク足が下落している場合は、売られ過ぎの可能性があります。

買われ過ぎや売られ過ぎと判断された場合は、必ず、調整が入ります。買われ過ぎと判断されれば、売りが入りますし、売られ過ぎと判断されれば、買いが入ります。上昇トレンドの中でも、押し目ができたり、下降トレンドの中でも、戻りができたりする訳です。

移動平均線とローソク足の乖離に注目しておけば、売買のタイミングを誤ることなく、相場の動きについて行くことができます。

なお、移動平均線とローソク足の乖離については、移動平均乖離率というテクニカル指標を用いて、分析することもできますので、これを活用するのも、ひとつの方法です。

移動平均線の使い方

複数の移動平均線を使ってトレンドとシグナルを読み解く

移動平均線は、1本からでもチャート上に表示させることができますが、複数の移動平均線を表示させて使うのが、一般的です。複数表示させるといっても、まったく同じ線を表示させても意味がありません。平均を求める期間の異なる複数の移動平均線を同じチャート上に表示させるのです。

通常は、短期線、中期線、長期線という3本の移動平均線を同時に表示させて使うことが多いです。期間の異なる複数の移動平均線を表示させることで、1本の移動平均線だけを表示させるよりも、詳細な分析が可能になります。

短期移動平均線と中期移動平均線と長期移動平均線

このチャートでは、赤い線が、短期移動平均線、青い線が、中期移動平均線、緑の線が、長期移動平均線を表しています。期間が短いほど、ローソク足に敏感に反応して、期間が長いほど、ゆったりと大きな動きをしているのが、分かると思います。

期間の異なる複数の移動平均線を表示させることによって、それぞれの期間におけるトレンドを把握することができます。また、複数の移動平均線の位置関係も重要で、ここからトレンドの強さやエントリーのタイミング等を分析することも可能です。

パーフェクトオーダー

短期線、中期線、長期線の3本の移動平均線を表示させた際、その3本の並び順に注目してみましょう。短期線、中期線、長期線の3本がきれいに並んでいるときは、トレンドが明確に発生していることを示しています。

移動平均線のパーフェクトオーダー

短期線、中期線、長期線の3本が、すべて同じ方向に傾き、きれいに並んでいる状態をパーフェクトオーダーと言います。上昇トレンドにおいては、上から、短期線、中期線、長期線と並んだ状態、下降トレンドにおいては、上から、長期線、中期線、短期線と並んだ状態が、パーフェクトオーダーを形成している印です。

パーフェクトオーダーを形成しているということは、短期的にも、中期的にも、長期的にも、トレンドが同じ方向を向いていることを表していて、トレンドが明確に発生していることを意味します。

従って、パーフェクトオーダーが見られた際には、順張りでトレンドについて行くトレードに徹するのが、基本戦略となります。

ゴールデンクロスとデッドクロス

移動平均線から読み取れる売買シグナルに、ゴールデンクロスデッドクロスがあります。

ゴールデンクロスとデッドクロス

ゴールデンクロスは、短期線が長期線を下から上に突き抜けることで、買いのシグナルとなり、デッドクロスは、ゴールデンクロスとは反対に、短期線が長期線を上から下に突き抜けることで、売りのシグナルとなります。

ゴールデンクロス
短期線が長期線を下から上に突き抜ける(買いシグナル)
デッドクロス
短期線が長期線上から下に突き抜ける(売りシグナル)

なお、短期線と長期線の設定期間は、任意の値で構いません。ここでは、短期線と長期線という表現をしていますが、チャート上に表示した、より期間の短い移動平均線がより期間の長い移動平均線を突き抜ける現象が、ゴールデンクロスとデッドクロスと考えておいてください。

ゴールデンクロスとデッドクロスはレンジ相場では機能しない

売買のシグナルとなるゴールデンクロスとデッドクロスですが、注意しなければならない点があります。それは、レンジ相場では機能しないという点。

レンジ相場における移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロス

このチャートのように、レンジ相場では、移動平均線が横ばいになり、複数の移動平均線が絡み合ってしまいます。これでは、ゴールデンクロスもデッドクロスも、当てになりません。

要するに、レンジ相場における移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスは、だましということになります。

ゴールデンクロスとデッドクロスが機能するのは、あくまでもトレンド相場でのこと。レンジ相場に入ったら、ゴールデンクロスとデッドクロスは、売買シグナルとして機能しないと考えておきましょう。

サポートラインとレジスタンスラインとして考える

移動平均線は、重要な節目として捉えられることがあり、時に、サポートライン(指示線)とレジスタンスライン(抵抗線)として機能することがあります。トレンドラインが、サポートラインやレジスタンスラインとして機能するように、移動平均線によって、ローソク足が支えられたり、押さえつけられたりすることがあるのです。

移動平均線のサポートラインとレジスタンスラインとしての機能

このチャートは、上昇トレンドにおいて、移動平均線を表示させたものですが、所々、ローソク足が、移動平均線に支えられているのが分かると思います。つまり、サポートラインとして機能しているということです。

逆張りで押し目買いや戻り売りを狙う

移動平均線が、サポートラインやレジスタンスラインとして機能している場合、エントリーのタイミングを探るのに有効活用できます。

上昇トレンドにおいては、移動平均線に近づいたところで反発するようであれば、押し目買いのポイントになりますし、下降トレンドにおいて、移動平均線に近づいたところで反発するようであれば、戻り売りのポイントになります。

ブレイクしたところを順張りで狙う

トレンドライン同様、ローソク足が移動平均線を突き抜けると、その方向に大きく値が動くことがあります。

上向きの移動平均線をローソク足が上から下に突き抜けた場合は、上昇トレンドが終了し、下降トレンドに転換する可能性がありますし、下向きの移動平均線をローソク足が下から上に突き抜けた場合は、下降トレンドが終了し、上昇トレンドに転換する可能性があります。

そのため、ローソク足が移動平均線をブレイクしたところを順張りでついて行くのも、有効な手法です。

グランビルの法則を活用する

移動平均線を用いたテクニカル分析法にグランビルの法則というものがあります。グランビルの法則は、移動平均線とローソク足の位置関係から売買のシグナルと読み取ろうとするもので、シンプルでありながらも、重要な考え方を教えてくれます。

グランビルの法則については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ押さえておいてください。

移動平均線のまとめ

移動平均線は、超基本的なテクニカル指標でありながら、超重要なテクニカル指標でもあります。相場のトレンドを教えてくれるだけでなく、売買シグナルにもなるため、使用用途が幅広く、非常に優秀です。

移動平均線は、他のテクニカル指標と組み合わせて使うことで、より精度の高い分析が可能になりますので、他のテクニカル指標を使う際にも、常にチャート上に表示させておくと良いと思います。

様々な場面で活躍してくれるはずですので、移動平均線の使い方については、必ず頭の中に叩き込んでおきましょう。