
取引ツールとしてMT4(MetaTrader4/メタトレーダー4)を採用しているFX会社はいくつかありますが、同じMT4でも、1週間の日足が5本形成されるFX会社と6本形成されるFX会社とがあります。
実は、この日足の本数、MT4での取引においては、トレードの成果を左右するほど重要なもので、MT4を導入しているFX会社を選ぶ際には、必ずチェックしておかなければならない項目です。
このページでは、FX会社によってMT4の日足の本数が異なる理由と日足の本数がトレードに与える影響について、解説しますので、FX会社選びの参考にしてみてください。
MT4で1週間の日足が6本形成される理由
普通に考えれば、1週間の内、外国為替市場がオープンしているのは、土日を除く5日間ですので、1週間の日足は、5本できることになります。ところが、MT4の場合、これが、6本になるFX会社があるのです。
なぜかと言うと、FX会社によって、MT4のタイムゾーンが異なるから。
MT4のタイムゾーンは、FX会社によって異なっていて、このタイムゾーン次第では、1週間における日足の本数が、6本になることがあります。
タイムゾーンと標準時
MT4のタイムゾーンの話に入る前に、タイムゾーンと標準時について、触れておきます。
ご存知のように、世界の国や地域では、採用されている標準時が異なり、時差が生じます。タイムゾーンというのは、共通の標準時を利用する地域のことで、例えば、日本のタイムゾーンで用いられている標準時は、GMT+9で、ニューヨークのタイムゾーンで用いられている標準時は、GMT-5(夏時間は、GMT-4)です。従って、日本とニューヨークの時差は、14時間(夏時間は、13時間)となります。
なお、GMTというのは、「Greenwich mean time」の略で、グリニッジ標準時を表しています。グリニッジ標準時は、イギリスのグリニッジ天文台を通る経緯0度のグリニッジ子午線を基準とする平均太陽時で、ロンドンにおける標準時は、GMT±0(サマータイムは、GMT+1)となります。世界の国や地域における標準時は、このグリニッジ標準時を基準にして表されます。
ちなみに、現在は、このGMTの代わりにUTCで表される世界協定時が使われることが多いです。このUTCは、「Universal time coordinated」の略で、GMTで生じる微妙なずれを調整したものとなりますが、基本的には、GMTとほぼ同じものと考えて問題ありません。
MT4における標準のタイムゾーン
MT4を開発しているMetaQuotes Software社は、キプロスの会社で、MT4も、キプロスと同じタイムゾーンを前提に設計されています。キプロスの標準時は、東ヨーロッパ時間が採用されていて、冬時間は、GMT+2、夏時間は、GMT+3です。
つまり、GMT+2(夏時間は、GMT+3)が、MT4の標準時となっています。
ところが、FX会社の中には、MT4の標準時をこれとは異なる設定としているところがあります。日本のFX会社であれば、日本人の投資家向けに、MT4の標準時を日本と同じGMT+9としていたりします。
実は、これこそ、日足が6本形成される原因なのです。
MT4のタイムゾーンを日本に合わせると日足が6本になる
MT4では、日足の始値は、0時、終値は、24時となる仕様になっています。
一方、外国為替市場においては、ニューヨーク市場のクローズが、1日の区切りとして扱われます。ニューヨーク市場のクローズは、冬時間では、日本時間の午前7時、夏時間では、日本時間の午前6時です。
MT4標準のタイムゾーンであるGMT+2(夏時間は、GMT+3)の場合、MT4が終値を付ける24時とニューヨーク市場がクローズする時間が、同じになりますので、1週間における日足は、正常に5本形成されます。
ところが、MT4のタイムゾーンを日本のタイムゾーンであるGMT+9とすると、MT4における24時とニューヨーク市場がクローズする時間が合わなくなり、日本時間土曜0時から7時(夏時間は、6時)までの値動きが、6本目のローソク足として、チャート上に表示されてしまいます。
大半のFX会社は、月曜7時頃から土曜のニューヨーク市場のクローズまでが、1週間における取引可能な時間帯となっていますので、それを踏まえると、タイムゾーンをGMT+9とした場合の冬時間における1週間の日足は、以下のように形成されることになります。
- 1本目…月曜7時から24時
- 2本目…火曜0時から24時
- 3本目…水曜0時から24時
- 4本目…木曜0時から24時
- 5本目…金曜0時から24時
- 6本目…土曜0時から7時
日足の本数が与える影響
通常5本となるはずの日足が、6本形成されるとなると、何となく気持ち悪い感じがしますが、ただ気持ちが悪いだけではなく、テクニカル分析にも、影響が出ます。
1週間の日足が5本と6本では、テクニカル指標の反応の仕方も異なりますし、はっきり言ってしまえば、1週間の日足が6本になることで、テクニカル分析の精度は落ちてしまいます。
普通に考えれば、1週間の日足は、5本が正常であって、世界中の大半のトレーダーは、日足が5本となるチャートを使って、テクニカル分析を行っているはずです。そのような中、周りのトレーダーとは違う、日足が6本となるチャートを使って、テクニカル分析を行っても、同じ分析結果を得ることはできません。
一方、日本のタイムゾーンを採用すると、MT4でも、日本時間が表示されるというメリットがあります。
MT4標準のタイムゾーンでは、MT4に表示される時間は、日本時間と異なりますので、日本のタイムゾーンを採用しないと、若干の使いにくさがあるのは、事実です。なお、どうしても、日本時間を表示させたい場合は、インジケーターを使って、表示させることができます。
取引ツールにMT4を採用しているFX会社を選ぶ際には、これらのメリットとデメリットを考慮するようにしましょう。
各FX会社におけるMT4のタイムゾーンと日足の本数
最後に、FX会社ごとのMT4のタイムゾーンと1週間における日足の本数をまとめておきます。
FX会社 | タイムゾーン | 日足の本数 | |
---|---|---|---|
冬時間 | 夏時間 | ||
FXTF | GMT+2 | GMT+3 | 5 |
OANDA Japan | GMT+2 | GMT+3 | 5 |
外為ファイネスト | GMT+2 | GMT+3 | 5 |
FOREX.com | GMT+9 | GMT+9 | 6 |
FOREX EXCHANGE | GMT+2 | GMT+3 | 5 |
楽天証券 | GMT+2 | GMT+3 | 5 |
以前は、日本のタイムゾーンを用いるFX会社も多く、日足が6本形成されることも珍しくありませんでしたが、今では、大半のFX会社が、タイムゾーンをGMT+2(夏時間は、GMT+3)としていて、日足は5本というのが、当たり前になっています。
ただ、少数とは言え、今でも、タイムゾーンをGMT+9としている会社もありますので、MT4で取引可能なFX会社を選ぶ際には、形成される日足の本数も、しっかりチェックしておきましょう。
まとめ
- MT4対応のFX会社には、1週間の日足が5本形成されるところと6本形成されるところがある
- 日足の本数が異なる原因は、MT4に設定されているタイムゾーンの違い
- MT4に日本時間を表示すると、日足の本数が6本になる
- 日足の本数が6本になると、テクニカル分析の精度に影響が出る
MT4では、GMT+2(夏時間は、GMT+3)が、標準のタイムゾーンとして設定されていて、これを日本のタイムゾーンに合わせると、日足が、6本形成されてしまいます。
日足が6本形成されるFX会社があることなど、思いもしないかもしれませんが、形成される日足の本数は、FX会社を選ぶ際には、非常に重要なポイントとなります。
MT4のタイムゾーンを日本のタイムゾーンに合わせると、標準で、日本時間が表示されるというメリットはありますが、テクニカル分析の精度に影響が出ます。
MT4では、インジケーターを用いて日本時間を表示することもできますし、慣れてしまえば、日本時間が表示されなくても、支障はないと思いますので、基本的には、MT4標準のタイムゾーンを採用していて、日足が5本となるFX会社を選ぶことをおすすめします。