
FXの取引手法にナンピンというものがあります。
ナンピンは、含み損が出た際に、ポジションの平均コストを下げるために用いられる手法で、うまく活用できれば、含み損を解消できるだけでなく、大きな利益を得られる起死回生の一手にもなります。
しかし、ナンピンは、リスクが高く、使いどころが難しいことから、初心者にとっては、禁じ手とも言われています。
このページでは、ナンピンの基礎知識やメリットとデメリット、注意点やタイミング等について、解説しますので、参考にしてみてください。
ナンピンとは
ナンピンは、保有しているポジションに含み損が生じた際に、更に、ポジションを増やす手法のことで、ポジションの平均コストを下げる効果があります。
ナンピンは、漢字で「難平」と書きますが、難(損失)を平均化することから、このように呼ばれています。
ちなみに、買いのナンピンをナンピン買い、売りのナンピンをナンピン売りといいます。
ナンピンのメリット
ナンピンのメリットとしては、以下が挙げられます。
- ポジションの平均コストを下げられる
- 値が戻った場合に大きな利益を得られる
ポジションの平均コストを下げられる
ナンピンの最大のメリットが、ポジションの平均コストを下げられるという点です。
例えば、米ドルを100円で1万通貨購入した後、99円まで下落したとします。ここで、1万通貨をナンピン買いしたとすると、ポジションの平均価格は、99円50銭となり、当初の100円より50銭下がることになります。
ポジションの平均価格が下がるということは、損益分岐点が下がることを意味します。
この例の場合、当初の損益分岐点は、1米ドル=100円です。これより円安に進めば、利益が出ますが、これより円高に進めば、損失が出てしまいます。しかし、1米ドル=99円になったところで、ナンピンを行うことにより、ポジションの平均価格が99円50銭となったため、損益分岐点も99円50銭まで下げることができました。
損益分岐点が下がるということは、それだけ、利益が出やすくなるということです。
つまり、ナンピンには、ポジションの平均コストを下げることによって、利益を出しやすくするという効果があります。
値が戻った場合に大きな利益を得られる
ナンピン後、当初の狙い通りに値が戻った場合、より大きな利益を得ることができます。
前述の例で言えば、1米ドル=100円で1万通貨、1米ドル=99円で1万通貨を購入していますので、1米ドル=101円まで円安が進んだ場合、合計で3万円の利益を得られることになります。ナンピンを行わなければ、1万円の利益だったところが、ナンピンを行うことによって、3万円まで増えることになりました。
結果論ではありますが、このように、ナンピン後に、当初の狙い通りの値動きを見せた場合には、ポジションを積み増した分、より大きな利益につながるという点は、ナンピンのメリットとも考えられます。
ナンピンのデメリット
ナンピンには、メリットだけでなく、デメリットもあります。ナンピンは、リスクが高い取引手法でもありますので、デメリットについても、しっかりと理解しておいてください。
- 損失が拡大する危険性がある
- 資金不足に陥る可能性がある
損失が拡大する危険性がある
ナンピンの最大のデメリットが、損失が拡大する危険性があるという点です。
ナンピンによって、いくら平均コストを下げたところで、値が戻らなければ、含み損は拡大していく一方です。
トレンド相場の中、トレンドに逆らったポジションを積み増していては、大きな含み損を抱えて、決済することもできない塩漬けポジションとなってしまうことも考えられます。
相場の格言に、「下手なナンピン素寒貧」というものがあります。ナンピンは、うまく活用しなければ、貧乏になってしまうという意味ですが、このような格言が生まれるほど、ナンピンは、リスクの高い取引手法と考えられています。
資金不足に陥る可能性がある
また、ナンピンによって、資金不足に陥ってしまう可能性にも注意が必要です。
ナンピンを行って、ポジションを積み増すと、それだけ、証拠金が圧迫されることになります。ただでさえ含み損を抱えている中、ナンピンを行うと、証拠金不足で、チャンスが来ても、新たなポジションを持つことができないということにもなりかねません。
加えて、証拠金維持率が低下すると、マージンコールやロスカットということも考えられます。
ナンピンは、機会損失につながるだけでなく、最悪の場合、ロスカットまで引き起こしてしまう危険性があるため、安易に取るべき手法ではありません。
ナンピンの注意点
ナンピンには、取得価格を平均化できるというメリットがありながらも、そのリスクの高さから、一般的には、禁じ手と考えられています。
使いどころを間違うと、損失が拡大してしまうばかりか、相場からの退場も考えられるため、安易なナンピンは、おすすめしません。
含み損が出てしまった場合は、潔く損切りをして、次のチャンスを待つようにしましょう。
トレンドに逆らったナンピンには勝ち目がない
特に、トレンドに逆らったポジションを持っている場合、いくらナンピンをしたところで、トレンドの終わりが来ない限りは、含み損は拡大し続ける一方です。
トレンドの終わりが見えているのであれば、その転換点を狙ったナンピンは、有効と言えますが、トレンドの最中に、値頃感で入れるナンピンは、最悪の取引です。
トレンドに逆らったポジションを持っている場合、基本的には、損切りの徹底で対応しましょう。
無計画なナンピンは厳禁
また、根拠のないナンピンにも注意が必要です。
初心者の方は、特に、含み損を抱えてしまうと、損失を確定させたくないあまりに、損切りをせず、ナンピンを行ってしまいがちです。
このようなナンピンは、何の計画性もない、感情的なナンピンです。これが成功するかどうかは、博打と言っても良いでしょう。
そもそも、トレードは、相場分析に基づき、計画的に行うべきものであって、感情に左右されたトレードは厳禁です。このようなトレードを行っている以上、まぐれで勝つことはできても、勝ち続けることはできません。
含み損が出てしまった場合でも、その状況を受け入れ、冷静に対処する姿勢が大切です。
ナンピンのタイミング
ナンピンはタブーとは言え、ナンピンが有効な場面やタイミングというのも、存在します。
ナンピンの有効なタイミングとしては、相場の転換点が挙げられます。
先にも触れたように、トレンドに逆らったナンピンは、厳禁ですが、トレンドの転換点で行うナンピンであれば、話は別です。
例えば、上昇トレンドの最中に売りポジションを持っている場合、天井でナンピン売りができれば、下降トレンドに転換した際に、利益が見込めます。下降トレンドの最中に買いポジションを持っている場合は、底が、ナンピン買いの絶好のタイミングです。
また、トレンドにおける一時的な調整相場に巻き込まれた場合には、押し目や戻りがナンピンをすべきタイミングとなります。
例えば、上昇トレンドの中、一時的な下落に巻き込まれて、買いポジションに含み損が出た場合は、再度上昇に転じる押し目が、ナンピン買いの絶好のタイミングとなります。反対に、下降トレンドにおける一時的な上昇相場において、売りポジションに含み損が出た場合は、再度下落に転じる戻りが、ナンピン売りすべきタイミングです。
含み損を抱えていても、相場の転換点が予測できている場合、ナンピンは、有効な取引手法と考えられます。
まとめ
- ナンピンは、含み損が出ている場合にポジションを積み増す取引手法のこと
- ナンピンには、ポジションの平均コストを下げる効果がある
- ナンピンは、リスクが高く、初心者には危険な取引手法
- ナンピンを行う場合は、相場の転換点を狙う
ナンピンは、使いどころを間違わなければ非常に有効な取引となりますが、失敗すると、損失を拡大させてしまうハイリスクの取引手法でもあります。
ナンピンを行う際は、注意点と行うべきタイミングについて、しっかりと理解したうえで、計画的に行うようにしましょう。