始める前に知っておきたいFXのリスクと対処法
このページの要点
  • FXには、様々なリスクが存在する
  • FXのリスクは、対応次第で回避や限定することができる

FXのリスク

FXには、多くのメリットがありますが、それと並んで、リスクもあります。FXの取引をする際には、メリットばかりに気を取られずに、リスクに対しても、目を向けなければなりません。

なお、どのリスクも、対策次第で、回避、または、限定することができますので、しっかりとした対策を取っておくことも重要です。

このページでは、FXにおいて考えられるリスクとその対処法について、まとめておきますので、十分理解した上で、トレードに臨みましょう。なお、FXの特徴については、以下の記事でまとめていますので、こちらもチェックしておいてください。

FXのリスク
  • 為替変動リスク
  • 金利変動リスク
  • 流動性リスク
  • レバレッジによるリスク
  • ロスカットのリスク
  • 電子取引のリスク
  • 信用リスク

為替変動リスク

FXにおける最も代表的なリスクが、為替の変動リスクです。

FXは、為替レートの変動を利用して、為替差益を得ようとする取引ですが、為替レートが、想定外の変動を見せれば、為替差損が出てしまいます。FXは、投資ですので、元本は保証されていません。利益を上げることができる可能性がある一方で、損失を被る危険性もあるということは、重々承知しておいてください。

為替変動リスクへの対処法

FXにおいて、闇雲なトレードは厳禁です。なんとなく勝てそうだとか、値が下がったから買ってみようといった客観的な根拠に欠けるトレードをしていては、勝つことはできません。為替変動リスクに対処するためには、しっかりとした分析に基づいたトレードを行うことが非常に重要。

また、損失を受け入れる姿勢も大切です。一切、損をしたくないというのであれば、FXは、やるべきではないでしょう。取引をする際には、損失を受け入れる覚悟が必要。どれほど優秀なトレーダーも、すべてのトレードに勝っている訳ではありませんので、損失とうまく付き合っていくという姿勢でいる方が良いでしょう。

金利変動リスク

FXの取引においては、スワップポイントというものが発生します。スワップポイントは、通貨間の金利差調整分のことで、為替差益と並ぶFXの利益となるものです。

スワップポイントは、各通貨の金利を基に計算されていますので、金利が変動することで、スワップポイントも変動します。金利変動により、スワップポイントが増えれば、何の問題もありませんが、スワップポイントが減少することもありますし、マイナスのスワップとなると、受け取るのではなく、支払わなければならなくなるというリスクがあります。

金利変動リスクへの対処法

通貨の金利は、各国の金融政策により、決定されます。金利の変動は、スワップポイントだけでなく、為替レートの変動にも大きな影響を及ぼすFXにおける超重要な要素です。そのため、各通貨の金利や各国の金融政策については、常に敏感になっておく必要があります。

また、それぞれのFX会社は、日々のスワップポイントの額を記したスワップカレンダーを公開しています。スワップポイント狙いのトレードをする場合は、こちらも要チェックです。

流動性リスク

市場における通貨の流通量のことを流動性と言います。流動性が高ければ、安定的に取引をすることが可能ですが、流動性が低いと、注文通りの取引が行えず、想定外に不利なレートで約定したり、約定拒否をされる危険性もあります。

流動性リスクへの対処法

流動性リスクへの対処法としては、流動性が低い状況でのトレードや流動性が低い通貨のトレードを避けること、それから、約定力の高いFX会社を使うということが、効果的です。

流動性が低い状況や通貨のトレードは避ける

メジャー通貨の取引においては、通常、流動性が低くなることは多くありませんが、時間帯によっては、流動性が低下することがあります。主要国が祝日の場合や、日本時間の早朝にあたるオセアニア市場等では、市場参加者が少なく、流動性が下がりがちになるので、注意が必要です。また、有事の際等、市場が混乱状態にあるときも、流動性リスクが高まります。

更に、マイナー通貨は、メジャー通貨に比べると、総じて、流動性が低いので、要注意です。

約定力の高いFX会社を使う

流動性の低下による取引への悪影響は、約定力の高いFX会社を使うことによって、軽減することができます。

流動性が低くて、何が困るかというと、思うように取引が行えないことです。できることなら、どのような状況においても、買いたくても買えないとか売りたくても売れない、または、想定外のレートで約定するといった事態は避けたいですよね。

FX会社における注文を成立させる力のことを約定力と言いますが、約定力の高いFX会社を使うと、約定拒否やスリッページと呼ばれる注文した価格と約定した価格がずれる現象は、驚くほどなくなります。

どのFX会社を使っても、市場参加者が少なくなれば、流動性は低下しますが、約定力という観点からアプローチすることで、安定的な取引を行うことは可能になります。

レバレッジによるリスク

FXは、レバレッジをかけた取引ができるという点が、最大の魅力です。レバレッジによって、小さな資金でも、大きな取引ができる訳ですが、これにより、大きな利益を得ることができる一方で、トレードに失敗した際の損失も大きくなる危険性があります。

レバレッジによるリスクへの対処法

FXでは、最大25倍のレバレッジまでかけることができますが、レバレッジが大きくなるほど、ハイリスクハイリターンになります。リスクを抑えたいのであれば、レバレッジが低くなるよう、資金に見合った額の取引を行う必要があります。

限られた資金でトレードに臨むのであれば、少額から取引できるFX会社を選ぶようにしましょう。

ロスカットのリスク

FXでは、損失を限定するため、証拠金維持率が一定水準まで低下した際に、追加の証拠金の入金を求めるマージンコールや強制的にポジションを決済するロスカットという仕組みが設けられています。

マージンコールやロスカットのおかげで、レバレッジをかけたとしても、基本的には、預けた証拠金以上の損失は出ないようになっているのですが、ロスカットが執行されると、強制決済となり、有無を言わせず損失が確定されてしまいます。

ロスカットのリスクへの対処法

ロスカットを避けるには、まず、損切りを徹底することが重要です。初心者によくあるのが、損失を確定させるのが怖くて、損切りできないまま、含み損が拡大したあげく、ロスカットに遭うというケース。資金の大半を失う前に、損切りで損失を限定させることが大切です。

また、資金に余裕を持つのも、大事なことです。資金に余裕がないと、少し含み損を抱えただけでも、ロスカットにかかってしまう危険性があります。レバレッジリスクへの対策と同じく、ここでも、資金に見合った大きさの取引をすることが大切です。

電子取引のリスク

FXでは、PCやスマホからインターネットを通して取引を行います。そのため、ネット環境のトラブルやシステム障害が発生すると、取引ができなくなってしまいます。

電子取引のリスクへの対処法

まずは、安定したネット環境の元でトレードを行うようにしましょう。それから、FX会社のシステムがダウンした際に備えて、サブ口座を開設しておくのも有効です。

信用リスク

信用リスクは、FX会社が倒産してしまうリスクのことです。

なお、現在、日本のFX会社には、信託保全が義務付けられていることから、FX会社は、顧客の資産を自身の資産を分けて管理し、信託銀行に預け入れなければならない仕組みになっています。そのため、万が一、FX会社が倒産した場合でも、投資家の資金は、しっかりと守られます。

信用リスクへの対処法

いくら投資家の資金が守られるといっても、このようなトラブルには、巻き込まれない方が良いに決まっています。信用リスクを避けるため、我々ができることは、健全な経営を行っているFX会社で取引を行うことです。

FX会社の財務の健全性を測る指標に、自己資本規制比率というものがあります。自己資本規制比率が100%を下回ると、3ヵ月以下の業務停止命令、または、登録取消命令の対象となり、取引に支障を来たしてしまいます。

取引するFX会社を選ぶ際には、自己資本規制比率があまりに低いところは、避けるようにしましょう。

FXのリスクのまとめ

FXには、メリットだけでなく、複数のリスクが潜んでいることが分かりました。FXを始めるにあたっては、これらのリスクについても、必ず把握しておいてください。あとになって、こんなはずじゃなかったとならないよう、しっかり理解しておきましょう。

また、FXのリスクについては、対応次第で、回避や限定することができます。どのリスクも、損益につながるものですので、うまく対処していくことが大切です。