
買われ過ぎや売られ過ぎを示すオシレーター系のテクニカル指標の代表的存在が、RSIです。
RSIは、アメリカのJ.W.ワイルダーという投資家が考案したもので、FXにおいては、定番のテクニカル指標となっています。FX上級者の方からも、支持されていているテクニカル指標ですが、FX初心者の方にとっても、使いやすいため、その使い方については、必ずマスターしておきましょう。
RSIとは
RSIは、「Relative Strength Index」の略で、日本語で言うと、相対力指数という意味になり、以下の計算式で求められます。
つまり、RSIは、一定期間における価格の変動幅に対する上昇幅の割合を示す指標で、値が、100%に近いほど、買われ過ぎを示していて、0%に近いほど、売られ過ぎを示しています。
例えば、一定期間における上昇幅と下落幅が、それぞれ50であれば、RSIは、50(上昇幅)÷100(上昇幅と下落幅の合計)×100(%)で、50%となります。
なお、考案者のワイルダーは、14日間の値動きからRSIの値を求めることを推奨おり、今でも、RSIを求める期間は、この14や9を使うのが、一般的です。
RSIの見方
以下のチャートは、サブウィンドウにRSIを表示させたもので、サブウィンドウの青い線が、RSIです。
先に触れた通り、RSIは、一定期間内の値動き全体における上昇幅の割合を表したものですので、基本的には、ローソク足が、上昇すれば、RSIも上昇し、ローソク足が下落すれば、RSIも下落することになります。このチャートを見ても、ローソク足とRSIが、概ね、同じような動きをしていることが分かると思います。
RSIの見方は、非常にシンプルで、RSIの値が、100%に近いほど、上昇する勢力が強く、0%に近いほど、下落する勢力が強いことを表しています。
なお、このチャートでは、70%のラインと30%のラインをグレーの点線で表しています。上の点線が、70%のライン、下の点線が、30%のラインです。
RSIの使い方
RSIの最もポピュラーな使い方は、RSIの値を見て、逆張りを仕掛けるというものです。
一般的に、RSIの値が、70%以上であれば、買われ過ぎを示していて、30%以下であれば、売られ過ぎを示しているとされています。
そのため、RSIの値が、買われ過ぎを示す70%以上の領域にある場合は、売りのシグナルとなり、売られ過ぎを示す30%以下の領域にある場合は、買いのシグナルとなります。
改めて、先ほどのチャートを見てみると、RSIの値が、70%付近にあると、ローソク足は下落し、反対に、RSIの値が、30%付近にあると、ローソク足は上昇していることが、分かります。
このように、RSIが、買われ過ぎを示していれば、売り、売られ過ぎを示していれば、買いというのは、効果的な手法であるということが、分かると思います。
RSIの注意点
RSIの値が、70%以上の場合は、売りシグナル、30%以下の場合は、買いシグナルというのは、非常に分かりやすい指標ではありますが、これは、常に有効という訳ではありません。
もちろん、テクニカル分析とは切っても切り離せないだましという可能性もあるのですが、それに加えて、RSIには、必ず理解しておかなければいけない注意点があります。
それが、RSIは、強いトレンド相場においては、常に、買われ過ぎ、または、売られ過ぎを示してしまうという点です。
このチャートは、上昇トレンドでRSIを表示させたものですが、RSIが、買われ過ぎを示す70%以上の値を示しているにもかかわらず、ローソク足は、下がることなく、上がり続けています。
このように、RSIは、上昇トレンドにおいては、常に、買われ過ぎを示す100%に近い領域に張りつくように推移してしまいますし、反対に、下降トレンドにおいては、常に、売られ過ぎを示す0%に近い領域に張りつくように推移してしまい、売買シグナルが、正常に機能しません。
RSIを用いた買われ過ぎ、売られ過ぎの判断は、レンジ相場でこそ有効なもので、トレンド相場においては、活用することができないものと捉えておいてください。
トレンド相場ではダイバージェンスとリバーサルを見極める
では、RSIは、レンジ相場でしか使うことができないのかというと、そんなことはありません。トレンド相場では、ダイバージェンスとリバーサルを見つけることで、より高度な分析ができるようになります。
ダイバージェンスとリバーサルは、RSIを始めとしたオシレーター系のテクニカル指標で見られる現象で、トレンド分析を行う上では、非常に重要なものです。詳細については、以下の記事で解説していますので、こちらも、参考にしてみてください。
ダイバージェンスとリバーサルは、オシレーター系のテクニカル指標において見られる現象で、トレンドの転換点や押し目、戻りを分析する際に有効です。この記事では、ダイバージェンスとリバーサルの違いやそれぞれが持つ意味について、分かりやすく解説しています。
RSIにおけるダイバージェンスとリバーサル
ダイバージェンスとリバーサルは、それぞれ、トレンドの転換と継続を教えてくれるものですが、ダイバージェンスとリバーサルの発生は、ローソク足とRSIそれぞれの高値または安値の更新から読み取ることになります。
最初の内は、チャート上から即座にダイバージェンスとリバーサルを読み取ることは難しいかもしれませんが、それぞれが、どのような状態を指すのか、また、どのような意味を持つのかということは、しっかりと把握しておいてください。
RSIにおけるダイバージェンス
ダイバージェンスは、下降トレンドにおいて、ローソク足が、安値を更新しているにもかかわらず、RSIが、安値を切り上げている現象、または、上昇トレンドにおいて、ローソク足が、高値を更新しているにもかかわらず、RSIが、高値を切り下げている現象のことで、トレンド転換のサインです。
このチャートのように、下降トレンドにおいて、ローソク足が、安値を切り下げる一方、RSIが、安値を切り上げる現象をダイバージェンスの中でも、強気のダイバージェンスと言い、下降トレンド終了のサインとなります。
強気のダイバージェンスに対して、上昇トレンドにおいて、ローソク足が、高値を切り上げる一方、RSIが、高値を切り下げる現象を弱気のダイバージェンスと言い、こちらは、上昇トレンド終了のサインです。
これらのチャートを見てみると、ダイバージェンスが発生した後、それまでのトレンドが転換して、ローソク足が、反転上昇または下降し、推移していることが分かると思います。
従って、強気のダイバージェンスは、逆張りの買いシグナル、弱気のダイバージェンスは、逆張りの売りシグナルとなります。
RSIにおけるリバーサル
リバーサルは、上昇トレンドにおいて、ローソク足が、安値を切り上げている一方、RSIが、安値を切り下げている現象、または、下降トレンドにおいて、ローソク足が、高値を切り下げている一方、RSIが、高値を切り上げている現象を言います。
リバーサルも、ダイバージェンスによく似た現象ですが、ダイバージェンスとは反対に、トレンドの継続を意味します。
このチャートは、上昇トレンドにおいて、RSIのリバーサルが発生しているところですが、ローソク足が、安値を切り上げているにもかかわらず、RSIは、反対に、安値を切り下げていることが分かると思います。このようなリバーサルをリバーサルの中でも、強気のリバーサルと言います。
強気のリバーサルは、上昇トレンドの押し目で現れる現象で、上昇トレンド継続のサインです。従って、強気のリバーサルは、押し目買いのシグナルとなります。
このチャートでは、下降トレンドにおいて、ローソク足が、高値を切り下げているにもかかわらず、RSIが、高値を切り上げています。これを弱気のリバーサルと言い、下降トレンドの戻りで現れる現象です。
弱気のリバーサルは、強気のリバーサルとは反対に、下降トレンド継続のサインとなり、戻り売りのシグナルとなります。
RSIのまとめ
RSIは、FXにおいて、最もポピュラーなテクニカル指標のひとつで、それと同時に、重要なテクニカル指標でもあります。
レンジ相場においては、買われ過ぎや売られ過ぎを教えてくれ、トレンド相場においては、トレンドの転換や継続を教えてくれます。
使い方は異なりますが、トレンド相場でもレンジ相場でも活躍する有能なテクニカル指標ですので、テクニカル分析にうまく活用しましょう。