
FXの取引では、注文した価格とは異なる価格で約定することがあります。このような現象をスリッページと呼ぶのですが、スリッページは、投資家にとって、不利に働くことが多く、なかなか厄介な存在です。
このページでは、スリッページの原因や注意点からスリッページを避ける方法まで、分かりやすく解説しますので、参考にしてみてください。
スリッページとは
スリッページとは、注文した価格と約定した価格との差のことです。
FXにおいては、必ずしも、注文した価格の通りに約定されるとは限りません。注文した価格とは異なる価格で約定してしまうことがあります。スリッページは、この注文した価格と約定した価格との乖離を指す言葉です。
例えば、1米ドル=100円のときに買い注文を出したとします。ところが、注文通りの1米ドル=100円では約定されず、1米ドル=100.003円で約定されたとすると、この場合、注文した価格と約定した価格との差である0.003円が、スリッページとして発生したことになります。
ちなみに、スリッページが発生することを「すべる」と表現したり、「スリップする」と表現することがありますので、あわせて覚えておきましょう。
スリッページはFXにおける隠れコスト
スリッページは、理論上は、投資家に有利な方向にも、不利な方向にも起こり得ます。
例えば、1米ドル=100円のときに買い注文を出したとすると、1米ドル=99.997円で約定することもありますし、1米ドル=100.003円で約定することもあります。前者の場合、想定より低い価格で買うことができているため、投資家にとって有利なスリッページとなりますが、後者の場合、想定より高い価格で買うことになっているため、投資家にとって不利なスリッページとなっています。
投資家に有利なスリッページであれば、大歓迎なのですが、実際のところ、投資家に有利なスリッページが発生することは、決して多くありません。基本的に、スリッページとは、投資家にとって不利な方向に発生するものと考えておいて、間違いないでしょう。
投資家にとって不利なスリッページが発生すると、スリッページ幅だけ、利益は減少します。
FXにおいて、投資家は、取引の度に、スプレッドという手数料を負担しなければなりませんが、不利なスリッページが発生することによって、更に、コストが増えてしまいます。
一般的に、FXのコストといえば、スプレッドですが、スリッページは、表には出てこないFXにおける隠れコストともいうことができるのです。
スリッページは短期売買の大敵
スプレッドがそうであるように、スリッページも、短期売買には、大敵となります。
一般的に、スキャルピングのような短期売買は、短期的な売買を多くこなして、小さな利益を積み上げていくことになります。そのため、スリッページが発生すると、それだけ、得られる利益は減ってしまいます。更に、取引回数も多くなることから、スリッページという隠れコストも、スプレッド同様にかさんでしまうことになります。
そのため、短期売買を主としている場合は、スプレッドと同じように、スリッページにも、気を配っておく必要があります。
スリッページが発生する原因
スリッページが発生する原因としては、主に、注文から約定までのタイムラグと流動性の低下の2つが考えられます。
注文から約定までのタイムラグ
スリッページが発生する原因として、まず挙げられるのが、注文から約定までのタイムラグです。
投資家が、パソコンやスマホから出した注文は、インターネット回線を通して、FX会社のサーバーに届き、FX会社側で処理されて、約定することになります。実際の取引では、注文した瞬間に約定されているように思いますが、投資家の注文は、このようなプロセスを踏んで、約定されていて、注文から約定までの間には、僅かではありますが、タイムラグが発生しています。
一方、為替レートは、常に変動しています。ということは、投資家が注文を出して、この注文が約定するまでの間に為替レートが変動することも、往々にして起こり得ます。
そして、投資家が注文を出してから、約定されるまでの間に、為替レートが変動すると、スリッページが発生することになるという訳です。
流動性の低下
また、市場の流動性が低い場合にも、スリッページは発生しやすくなります。
FX会社は、投資家から受けた注文をインターバンク市場に参加するカバー先の金融機関に流して、取引を成立させます。つまり、注文を受けてくれるカバー先の金融機関が見つからないと、取引自体が成立しなかったり、投資家の想定外の価格でしか、注文を飲んでくれなかったりします。
市場の流動性が低く、閑散としている相場では、取引をしたくても、相手が見つからないことがあります。こうなると、投資家が望んだ価格とは乖離した価格で約定してしまい、スリッページが発生してしまいます。
早朝や祝日等、市場参加者が少ない場合やマイナー通貨の取引においては、流動性が低くなるため、特に、注意が必要です。
スリッページを避ける方法
スリッページの発生は、仕方のないものではありますが、絶対に避けられないものでもありません。
以下で解説するとおり、許容スリッページを設定したり、スリッページが発生しにくいFX会社を使うことで、スリッページを避けることができます。
許容スリッページを設定する
スリッページ対策として、まず考えられるのが、許容スリッページの設定です。
多くのFX会社では、注文の際に、許容するスリッページの幅を設定できます。
例えば、許容スリッページを3pipsとしておけば、3pipsまでのスリッページは、発生しますが、3pipsを超えるスリッページは、発生しません。許容スリッページを0pipsに設定すれば、スリッページは一切発生しないことになります。
ただ、許容スリッページを設定することには、デメリットもあります。それは、許容スリッページを設定することによって、約定スピードが落ちたり、約定拒否が起きてしまうという点です。
許容スリッページを設定していない場合、約定させることを重視するため、スリッページが発生しても、約定はしやすくなります。ところが、許容スリッページを設定することによって、設定したスリッページの範囲内で約定させなければならなくなるため、取引を成立させる相手を探すために時間がかかったり、相手が見つからなかった場合は、約定拒否されることになってしまいます。
このようなデメリットはありますが、スリッページを避ける上では、許容スリッページを設定することは有効な対策となります。
スリッページが発生しにくいFX会社を使う
スリッページを避けるための対策として、最も有効なのが、スリッページが発生しにくいFX会社を使うことです。
スリッページの発生には、FX会社のシステムの処理能力やカバー先金融機関の数等が、影響します。そのため、スリッページの発生率は、それぞれのFX会社によって、大きく異なります。
どのようなFX会社でも、許容スプレッドを設定すれば、スリッページの発生率はコントロール可能ですが、約定率や約定スピードを犠牲にしてしまいます。一方、スリッページが発生しにくいFX会社を使うことで、約定率や約定スピードを犠牲にすることなく、スリッページを避けることができます。
別の言い方をすれば、デメリットなくスリッページを避けるためには、スリッページが発生しにくいFX会社を使うしかありません。
FX会社の中には、スリッページが全く発生しないところもあり、このようなFX会社を使うことが、最も効果的なスリッページ対策になります。
スリッページと約定力
ちなみに、FX会社を選ぶ際には、約定力という指標がひとつの比較検討材料となります。
約定力とは、注文を約定させる総合的な力のことで、約定力が高いFX会社は、スムーズに約定し、スリッページも発生しません。
約定力については、以下の記事で詳しく解説しています。スリッページとも深い関連性を持っていますので、あわせてチェックしておいてください。
このページでは、FXにおける約定力について、解説しています。約定力の高いおすすめのFX会社もご紹介していますので、参考にしてみてください。
スリッページが発生しないおすすめのFX会社
最後に、スリッページが発生しないおすすめのFX会社をご紹介します。
スプレッド | ||
---|---|---|
米ドル/円 | ユーロ/円 | ユーロ/米ドル |
0.3銭 | 0.4銭 | 0.3pips |
スワップポイント | ||
---|---|---|
米ドル/円 | 豪ドル/円 | NZドル/円 |
20円 | 12円 | 14円 |
- スリッページゼロ!約定拒否ゼロ!
- オリコン顧客満足度調査FX取引証券会社5年連続第1位!
- ハイスペックな取引ツールを搭載!
マネーパートナーズは、スリッページゼロ、約定拒否ゼロを謳うFX会社で、約定力の高さに定評があります。
矢野経済研究所が実施した「FXサービスパフォーマンステスト」においては、主要FX会社7社の中で、唯一、スリッページ発生率0%、約定拒否発生数0件という結果を残しており、11年連続約定力No.1に輝いています。
実際に使ってみると、本当にすべらないというのが、よく分かります。スリッページのない取引がしたいという方に強くおすすめできるFX会社ですので、スリッページにお悩みの場合は、ぜひ使ってみてください。
まとめ
- スリッページは、注文した価格と約定した価格の差
- スリッページは、FXにおける隠れコスト
- スリッページを避けるためには、FX会社選びが重要
スリッページは、注文した価格と約定した価格の差のことで、FXにおける隠れコストとも言えるものです。
スリッページを避けるためには、許容スリッページを設定するのも、ひとつの方法ですが、根本的な解決を図りたいのであれば、スリッページが発生しにくいFX会社を使うのが、最善の方法です。
スリッページが発生すると、取引コストが増えると同時に、メンタルにも悪影響を与えますので、スリッページには、敏感になっておきましょう。