FXの両建てとは|メリットとデメリットから効果的な活用法まで徹底解説!

両建ては、FXにおける取引手法のひとつで、買いポジションと売りポジションの両方を建てることを指します。

両建てには、メリットがある一方で、その扱いが難しいことから、初心者にとっては、避けるべき手法とも言われています。

このページでは、両建てのメリットやデメリットに加え、両建ての外し方、効果的な活用等について、解説しますので、参考にしてください。

両建てとは

両建てとは、同じ通貨ペアの買いポジションと売りポジションを同時に建てることです。

買いポジションと売りポジションを同時に保有することになるため、価格が上昇すれば、買いポジションでは、含み益が出ますが、売りポジションでは、含み損が出ます。反対に、価格が下落した場合は、買いポジションに含み損が出る一方、売りポジションでは、含み益が出ます。

両建てを行うと、買いポジションと売りポジションの損益が相殺され、価格がどう動こうが、常に、片方のポジションでは、含み益が出て、もう一方のポジションでは、含み損が出ることになります。

両建てのメリット

両建てのメリットとしては、以下が挙げられます。

両建てのメリット
  • 損益を固定できる
  • 精神的な負担を軽減できる

損益を固定できる

両建てのメリットとして、まず考えられるのが、損益を固定できるという点です。

既に含み益が出ているポジションを保有している中、両建てを行えば、その時点で損益を固定できるため、利益が減ることを防ぐことができます。両建てによって、一定の利益を確保できるということです。反対に、含み損を抱えている場合は、両建てを行うことで、損失の拡大を防ぐことができます。

このような使い方は、特に、先行きが不透明な局面や経済指標発表前後のような急激な相場変動が予想される局面において、効果的です。両建てによって、リスクヘッジを行いながら、相場の動向を見守ることができます。

精神的な負担を軽減できる

また、両建てには、精神的な負担を軽減してくれるというメリットもあります。

一旦、ポジションを持ってしまうと、その行方が気になって、適切な判断ができないということは、誰にでも経験があるはずです。

常に変動する為替レートを見ていると、利益が減ってしまうのではないか、損失が拡大してしまうのではないかといった不安や焦りが生まれます。

しかし、両建てを行えば、損益が固定されるため、これらの不安や焦りは、かなり軽減されます。

トレードにおいて、メンタルは、非常に重要です。両建てによって、ストレスが軽減できるのであれば、得られるメリットは、大きいと言えます。

両建てのデメリット

両建てには、メリットだけでなく、デメリットもあります。両建てをする際には、これらについても、しっかりと理解しておくことが大切です。

両建てのデメリット
  • 決済のタイミングが難しい
  • 証拠金を圧迫する可能性がある
  • スワップポイントが相殺される

決済のタイミングが難しい

両建て最大のデメリットとも言えるのが、決済のタイミングの難しさです。

両建ては、両方のポジションを保有している限り、損益が固定されますし、うまく解除できれば、損失を避けることができるのですが、うまく両建てを解除するのは、決して容易ではありません。

両建ての両損」という相場格言があるように、決済のタイミングを誤ると、損失が拡大してしまいます。

一般的に、初心者は、両建てをすべきではないとされていますが、決済のタイミングの難しさと失敗した際のリスクの高さが、その理由です。

証拠金を圧迫する可能性がある

両建てをする際には、証拠金にも、気を配っておく必要があります。

両建ては、買いポジションと売りポジションの両方を建てることになるため、その分、資金が必要となり、証拠金を圧迫する可能性があります。

ただし、両建て時の必要証拠金については、FX会社によって、取扱いが異なっていて、マックス方式と呼ばれる証拠金の計算方式が採用されているところもあります。

マックス方式とは

マックス方式とは、両建ての際に、買いポジションと売りポジションの数量の合計を比較して、いずれか大きい方のポジションに対する証拠金のみが必要となる証拠金計算方式です。

マックス方式では、買いポジションと売りポジションそれぞれに証拠金が必要となるのではなく、いずれか大きい方のポジションに対する証拠金のみが必要となるため、より少ない資金で両建てを行うことができるというメリットがあります。

マックス方式を採用しているFX会社

マックス方式を採用している主要なFX会社を以下に挙げておきます。両建てを行う際の参考にしてみてください。

スワップポイントが相殺される

両建てをすると、スワップポイントが相殺される点にも、注意が必要です。

プラススワップのポジションを保有していたとしても、両建てをすることによって、マイナススワップと相殺されてしまうため、スワップポイントを得ることはできなくなります。

スワップポイントは、各FX会社によって異なりますが、支払額よりも受取額を大きく設定しているFX会社はありません。受取額と支払額が同じ一本値のスワップポイントを採用しているFX会社も、ごく一部で、大半のFX会社は、受取額よりも支払額を大きく設定しています。

そのため、両建てによって、同じ数量の買いポジションと売りポジションを保有している場合は、通常、スワップポイントを負担しなければならなくなります。

両建ての外し方

両建てをした際には、その外し方やタイミングが非常に重要です。

両建ての外し方については、「両建ては損から外せ」という相場格言がありますが、この格言どおり、損失が出ているポジションから外すのが、セオリーです。

損失が出ているということは、トレンドに逆らっていることを意味します。トレンドに逆らっているポジションを保有していれば、更に、含み損は拡大していくことが予想されます。

反対に、利益が出ているポジションは、うまくトレンドに乗ることができていて、今後も利益が膨らむことが期待できます。

利益の拡大が期待できるポジションと損失の拡大が予想されるポジションとでは、利益の拡大が期待できるポジションを残すべきというのは、明らかです。

両建ては、損失が出ているポジションから決済するのが、基本。このことをしっかり頭に入れておきましょう。

両建ての活用法

扱いが難しい両建てですが、以下では、両建ての有効な活用法をご紹介します。トレードの際のオプションのひとつとして、頭に入れておくと良いでしょう。

長期取引と短期取引を同時に行う

両建てを活用することで、長期取引と短期取引の両方を同時に行うことができ、これによって、効率的に利益を得ることができます。

このテクニックが有効なのが、トレンド相場における調整局面です。

トレンドに沿ったポジションを保有しながらも、調整相場では、トレンドに逆らうポジションを建てることで、トレンドとその調整局面の両方で利益を得ることができます。

例えば、上昇トレンドにおいて、順張りの買いでポジションを建て、調整のため、一時的な下落を見せた際には、売りポジションを建てることで、両建てを行います。調整の下落が終了する頃に、売りポジションを決済すれば、順張りの買いポジションを維持しながら、調整局面においても、利益を得ることができます。

万が一、一時的な調整と見ていた下落が継続した場合でも、両建てによって、一定の利益は確保されていますので、リスクヘッジとしても、効果的です。

スワップポイントのアービトラージ

FXにおいて、ローリスクで利益を狙える取引手法が、スワップポイントのアービトラージです。

アービトラージは、価格差や金利差に注目した取引手法で、裁定取引やサヤ取りとも呼ばれます。

ここで注目するのは、FX会社間のスワップポイントの差です。

前述したとおり、スワップポイントは、受取額より支払額の方が大きいのが、一般的で、支払額よりも受取額を大きく設定しているFX会社はありません。

そのため、同じFX会社で両建てをしても、スワップポイントを得ることはできませんが、異なるFX会社で、買いポジションと売りポジションを建てることによって、スワップポイントを得られる可能性が出てきます。

同じ通貨ペアであっても、FX会社が異なれば、スワップポイントの大きさは異なりますので、スワップポイントの受取額が大きいFX会社で、プラススワップのポジションを建て、支払額の小さいFX会社で、それとは反対のポジションを建てると、為替変動による損失を避けながら、受取額と支払額の差分のスワップポイントを得ることができます。

FX会社によって、為替レートの変動は微妙に異なりますので、異なるFX会社で両建てを行った場合は、絶対に為替差損が出ないという訳ではないのですが、そのリスクは、大きく減らすことができます。

この手法は、得られる利益は決して大きくありませんが、ローリスクで着実に利益を得ることができるため、覚えておいて損はないと思います。

まとめ

  • 両建ては、同じ通貨ペアの買いポジションと売りポジションを同時に建てること
  • 両建てによって、損益を固定することができる
  • 両建ては、損失を抱えているポジションから外すのが鉄則

両建ては、リスクヘッジに役立つ取引手法で、うまく活用できれば、損失を回避することもできます。

しかし、両建てを外すタイミングは容易ではないため、決して、安易に取るべき手法ではありません。

戦略としての両建てであれば、問題ありませんが、損失を避けるための闇雲な両建ては、塩漬けにもつながりますので、避けるようにしましょう。