
FXでは、その時々の相場局面を読み取ることが、非常に重要です。相場局面を見極めた上で、効果的なトレードを行うことができなければ、いつまで経っても、勝つことはできないからです。
このページでは、相場を形成するトレンドとレンジという2つの局面とその分析法、それから、それぞれの局面における効果的なトレード手法について、解説します。
- 相場は、トレンド相場とレンジ相場から成り立っている
- トレンド相場では、ローソク足が、上昇または下落の一方向に推移する
- レンジ相場では、ローソク足が、一定の幅で上下しながら横ばいに推移する
トレンド相場とレンジ相場
相場の局面には、トレンド相場とレンジ相場の2種類があります。
逆に言えば、相場は、トレンドかレンジのどちらかしかないということですね。チャートを見ていると、ローソク足が、非常に複雑な動きをしているように見えますが、実は、そこには、トレンドとレンジというたった2種類の相場局面しかないのです。ちなみに、一般的に、相場におけるトレンドとレンジの割合は、レンジが7割、トレンドが3割と言われています。
なお、トレンドには、上昇トレンドと下降トレンドの2種類がありますので、より細かく見ていくと、上昇トレンド、下降トレンド、レンジの3種類が組み合わさることで、相場は形成されているということになります。こう考えると、複雑に見えるチャートも、かなりシンプルに考えられるようになるのではないでしょうか。
トレンド相場とは
トレンド相場というのは、上昇または下落のどちらか一方向に進んでいる局面のことを言います。
ローソク足は、常に上下しながら動いていますが、トレンド相場では、上下動しながらも、ひとつの方向に向かって推移していきます。上昇している場合は、上昇トレンド、下落している場合は、下降トレンドです。
トレンドは、ダウ平均株価を考案したチャールズ・ダウというアメリカの証券アナリストが完成させたダウ理論の中で定義されているように、上昇トレンドにおいては、ローソク足が、高値と安値を徐々に切り上げながら推移していき、下降トレンドにおいては、ローソク足が、高値と安値を徐々に切り下げながら推移していきます。
テクニカル分析の基礎とも言えるダウ理論について、まとめています。ダウ理論における6つの基本法則からダウ理論を活用したトレード手法まで、分かりやすく解説しています。
上昇トレンド
このチャートは、上昇トレンドを切り取ったものです。ローソク足が、上下動しながらも、高値と安値を切り上げながら、右肩上がりで推移しているのが、分かると思います。
下降トレンド
一方、こちらは、下降トレンドのチャート。上昇トレンドとは反対に、ローソク足が、高値と安値を切り下げながら、右肩下がりで推移しています。
レンジ相場とは
レンジ相場は、ローソク足が、一定の幅を上下動しながら、横ばいに推移している局面のことを指します。
レンジ相場は、保ち合い相場と言われることもありますが、トレンド相場のように、ローソク足が、ひとつの方向に向かうのではなく、上下に行ったり来たりするのが、特徴です。なかなか方向感が見えにくく、買い勢力と売り勢力が拮抗している状況のときに現れます。
トレンドとレンジを見極めることが大切
トレードにおいて大切なのは、相場の局面を読み取ることです。今が、上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか、レンジなのかを見極めることは、トレードの基礎であり、非常に重要なこと。
相場局面が変われば、効果的なトレード方法も変わります。分かりやすい例で言えば、上昇トレンドの中を売りで攻めたり、下降トレンドの中を買いで攻めたりしていては、勝てる訳がありません。相場局面を見誤ると、的外れなトレードをしてしまう危険性があるのです。
そのため、トレードに臨む際には、何よりもまず、その時々の相場局面を的確に把握することを心がけましょう。
時間足が異なれば相場局面も異なる
相場局面を見極める上で、知っておかなければならないのが、時間足によって、置かれている相場局面は異なるということです。
どういうことかというと、相場には、長期的な流れと短期的な流れがあるということ。
例えば、1時間足で見た際に、下降トレンドであっても、より長期的な日足で見た際には、上昇トレンドであることもあり得ます。この場合、1時間足で現れた下降トレンドは、日足で現れた上昇トレンドの調整局面であると判断できます。
もちろん、長期的なトレンドと短期的なトレンドが同じ方向を向くこともありますが、長期的なトレンドと短期的なトレンドは、常に同じ方向を向く訳ではないということは知っておいてください。
また、短期的なトレンドは、いつかは、長期的なトレンドに飲み込まれます。強いのは、短期的なトレンドよりも、長期的なトレンドなのです。
そのため、長期的なトレンドに逆らうようなトレードは、リスクを伴います。先の例で言えば、1時間足における短期的な下降トレンドは、日足レベルの長期的な上昇トレンドの調整局面であることから、売りで攻めるのではなく、買いで攻めるのがベターということになります。
長期的な相場局面と短期的な相場局面を把握した上で、短期的な相場局面を舞台に短期トレードをするのも、戦略のひとつですが、短期トレードにおいても、長期的な流れに飲み込まれないよう、長期的な相場局面を把握することを忘れないようにしましょう。
長期的な相場局面と短期的な相場局面を見極めることができれば、トレードで勝てる可能性も大きく広がりますので、複数の時間足を使って、相場局面を分析する癖をつけておきましょう。
トレンドとレンジの判断方法
繰り返しになりますが、高値と安値がともに切り上がって推移していれば、上昇トレンド、反対に、高値と安値がともに切り下がって推移していれば、下降トレンド、一定の幅を横ばいに推移していれば、レンジです。
相場局面を見極めるには、目で見て判断するしかないのですが、テクニカル指標を活用して、トレンドとレンジを判断す方法もあります。その際に活躍するのが、移動平均線です。
移動平均線を用いたトレンドとレンジの判断方法
単純に、チャート上に表示させた移動平均線が、上を向いていれば、上昇トレンド、下を向いていれば、下降トレンド、横ばいになっていれば、レンジと判断することができます。
また、移動平均線の角度は、トレンドの強さを表しています。移動平均線の角度が急であれば、強いトレンドであることを表しており、緩やかであれば、弱いトレンドであることを表しています。
更に、複数期間の移動平均線を組み合わせると、より詳細な分析ができます。
移動平均線の短期線、中期線、長期線の3本の線が、きれいに同じ方向に傾いて並んだ状態のことをパーフェクトオーダーと呼びますが、パーフェクトオーダーを形成すると、上昇トレンドの場合は、上から、短期線、中期線、長期線と並び、下降トレンドの場合は、上から、長期線、中期線、短期線と並ぶことになります。
このような状態は、より明確にトレンドが発生している証拠です。
このように、相場局面を判断する上では、複数期間の移動平均線を組み合わせて、チャート上に表示させるのが、メジャーかつ効果的な方法になります。
移動平均線は、FXにおけるテクニカル指標の一種です。この記事では、移動平均線の見方や使い方を初心者の方にも分かりやすく解説しています。
それぞれの相場局面に効果的なトレード手法
最後に、トレンド相場とレンジ相場における効果的なトレード手法をご紹介します。以下で解説するトレード手法は、それぞれの相場局面におけるセオリー的なトレード手法になりますので、必ず押さえておくようにしましょう。
トレンド相場で効果的なトレード手法
押し目と戻りを順張りで狙う
トレンド相場における定石は、トレンドフォローです。つまり、トレンドに乗ったトレードを行うこと。トレンド相場では、順張りでトレンドについて行くことが、効果的なトレード手法なのです。
なお、トレンド相場の中で順張りを行うにあたっては、押し目と戻りを狙ってエントリーすることが重要です。押し目は、上昇トレンドにおける一時的な下落、戻りは、下降トレンドにおける一時的な上昇を指しています。
押し目で買うことを押し目買い、戻りで売ることを戻り売りと言いますが、押し目買いと戻り売りを行うことによって、高値掴みや安値掴みを避けることができますので、よりリスクを減らした順張りトレードができます。
トレンドの転換点を逆張りで狙う
より高度なテクニックになりますが、トレンドの転換点を逆張りで狙うのも、効果的な手法です。
どんなに勢いの強いトレンドもいつかは、転換点が来ます。上昇トレンドが天井を打って、下降トレンドに転換するタイミング、下降トレンドが底を打って、上昇トレンドに転換するタイミング。ここを狙って逆張りでエントリーすることができれば、
レンジ相場で効果的なトレード手法
レンジの上限と下限を逆張りで狙う
レンジ相場では、ローソク足が上下に推移している上限と下限を逆張りで攻める戦略が考えられます。
ローソク足が、レンジの上限付近に来たら、逆張りの売りでエントリーして、下限付近まで下落したところで、決済をします。反対に、ローソク足が、レンジの下限付近に来たら、逆張りの買いでエントリーして、上限付近まで上昇したところで、決済。
レンジが続く限りは、これを繰り返すことで、利益を上げることができます。
レンジブレイクを順張りで狙う
レンジ相場におけるもひとつの攻め方として、レンジを抜けた瞬間を順張りでついていく方法があります。
ローソク足が、サポートラインやレジスタンスラインを抜けることをブレイクアウトと言いますが、ブレイクアウトすると、ブレイクアウトした方向に値が大きく動くことが多いです。そこで、レンジの上限または下限をブレイクアウトしたところを順張りでついて行けば、その後の値動きに乗ることができるという訳です。
当然ですが、レンジ相場も、いつまでも続く訳ではありません。いつかは、上限または下限を突き抜けて、新たな局面を形成します。このレンジをブレイクしたタイミングを狙うというのも、レンジ相場における戦略のひとつです。
なお、順張りと逆張りについては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
トレンドに乗る順張りとトレンドの転換点を狙う逆張り。FXにおける2つの取引手法について、それぞれの特徴からメリット、デメリット、エントリーのタイミングまで、分かりやすく解説します。
トレンドとレンジのまとめ
相場は、上昇または下落の一方向に進むトレンド相場と方向感がはっきりせず、横ばいになって進むレンジ相場の2種類から成り立っています。
一見、複雑な思える値動きも、シンプルに考えることによって、把握しやすくなりますので、相場局面を見極めた上で、それぞれの局面に応じた戦略を取るようにしましょう。